依存している。

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「お前さえこの国に来なければアラバスタはずっと平和でいられたんだ!!!!」




悲痛な王女様の叫びが部屋の中に響き渡り、クロコダイルに攻撃を仕掛ける。


だが、効かない。


なぜならクロコダイルも悪魔を体内に宿しているから。


砂の悪魔を。

おれやスモーカーや麦わらのように。




「ムダだ…」

『おれなら勝てるんだけどねぇ』



吸血鬼は霧になることができる。

霧とはすなわち水。

水は砂を固めることができるということは――。

水なら彼に攻撃ができるということで。




だがおれが何を使えようと今はもう関係ない。
海楼石の檻の中じゃ能力者は凡人になる。
否、凡人以下になる。



ビビ王女は以外と静かに椅子に座らされ(クロコダイルならもっと乱暴に置くかと思った)悔しそうにクロコダイルを睨んだ。




「…そう睨むな。ちょうど頃合……パーティーの始まる時間だ。違うか?ミス・オールサンデー…」

「ええ……7時を回ったわ」



返事をしたセミロングの女は何十年前の事件の加害者であり、被害者でもあった――青雉ことクザンが気にかけていたオハラの生き残り。



懸賞金7900万ベリーの賞金首。


“悪魔の子”ニコ・ロビン。




クザンに連絡をしないとと考えた瞬間、壁の向こうからたくさんの“声”が聞こえた。


見聞色の覇気を得意とするおれにはよく聞こえる声。


多分もうそろそろ、他の奴らにも聞こえるはずだ。




戦争が始まったのだ。




「どうだ気に入ったかねミス・ウェンズデー。君も中程に参加していた作戦が今花開いた…耳を澄ませばアラバスタの唸り声が聞こえてきそうだ!!!」

「……」

「…そして心にみんなこう思っているのさ」



「俺たちがアラバスタを守るんだ…!!!」


分からない。


「俺たちがアラバスタを守るんだ!!!」


こいつには。


「俺たちがアラバスタを守るんだ!!!」



分からない。




守ることも守られることも知らない。

いや、もしかしたら守られることは知っていて――それがトラウマとなっているのかもしれない。

だがこいつのやり方は間違ってる。



「泣かせるじゃねェか…!!国を想う気持ちが国を滅ぼすんだ…!!!」

「…外道って言葉はコイツにぴったりだな」

『下衆、もな』



麦わらの一味の緑髪君の呟きに賛同しつつ、おれもクロコダイルを睨んだ。

だがおれには覇王色の覇気の素質はないため何もできない。

悪あがきと思われただろうか。




「…思えばここへ漕ぎ着けるまでに数々の苦労をした…!!社員集めに始まり“ダンスパウダー”製造に必要な“銀”を買うための資金集め」

「滅びかけた町を煽る破壊工作」

「社員を使った国王軍濫行の演技指導」

「じわじわと溜まりゆく国のフラストレーション。崩れゆく王への信頼…!!!」



無駄な苦労だと心から思った。



「なぜおれがここまでしてこの国を手に入れたいかわかるか、ミス・ウェンズデー」

「あんたの腐った頭の中なんてわかるもんか!!!」



そう吐き捨てた王女様は椅子に縛り付けられたまま倒れこむと床を這っていく。


おおよそ王女様のすることではない行動を、クロコダイルは短く笑い捨てると小さな鍵を床に落とした。

だが金属が床に触れる音はせず、よく見れば鍵は床に開いた穴に落ちた。



穴の先はバナナワニの水槽らしい。


最悪の展開だ。











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