依存している。
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「貴様、いい加減“正義”を背負ったらどうじゃ」
「アルト中将は強情だねぇ」
「まぁまぁ、良いじゃないの」
アルトの目の前には海軍大将三人組。
右から赤犬サカズキ、黄猿ボルサリーノ、青雉クザン。
何か悪いことをしたのかと問われれば思い当たる節は一つしかない。
自分ひとりだけ掲げていない“正義”の二文字。
だがこれは、誰になんと言われようと変えることはできない。
アルトのポリシーでもあった。
『“見せびらかさない正義”がおれの正義なんで、“正義”を背負うのはイヤだ』
「なんちゅう屁理屈を…!」
『頭固いよ赤犬』
ふつふつと怒りをマグマにしだすサカズキから遠ざかりクザンの後ろに隠れたアルトは顔だけを出して口をあけた。
『なんと言われようとおれは背負わない』
「貴様ァ、降格されたいんか…?」
「ちょっとちょっとォ、おれを挟んで喧嘩しないでよ」
クザンの非難の声の直後ボルサリーノがクザンの背中からアルトを引き剥がし、首根っこを掴んで持ち上げた。
猫のようにいとも簡単に持ち上がるアルトの体はストラップのように揺れている。
『何すんだ』
「こんなに簡単に持ち上がるなんてねェ」
『なんスか嫌味っスか。筋肉つきにくいおれへの嫌味っスか』
「アルトちゃんのその顔でムキムキなのも嫌だけどね」
『身長2Mぴったりな時点でもうアウトだろ』
「わしの話を聞け!!」
痺れを切らせたサカズキが声を荒げればさすがにアルトの顔が驚きの色を見せた。
このまま言い負かすことを想定し、勝利を確信したサカズキだったがそれはうまくいかず。
『あ、おつるさんのところ呼ばれてるんだった』
思い出したかのように呟いたアルトはボルサリーノの手を離し、走って逃げてしまった。
笑うクザンとボルサリーノ。
そして、怒りをどこにもぶつけられないまま固まるサカズキを残して。
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