依存している。

□04
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おれの部屋から女の悲鳴が響き渡った。


声の主の推測はできている。
おれの部下のたしぎだ。
あいつは酷い近眼で眼鏡をかけねェと何もできない。
おまけに馬鹿でドジ。



机の上のプリントに飲み物がかかっていたり、家具がめちゃくちゃになっているという惨事を予想しつつ部屋のドアを開けた。





……アルトが真っ赤だった。





「あわわわわ、アルト中将ごめんなさいいいい」

『……』

「人の部屋で何やってんだお前ら…」




“正義”の文字が書かれていないコートは無慙な姿になっていた。


血…にしては色が赤すぎる。

インクにしてはドロッとしすぎている。


いや、血だった場合大惨事か。



「と、とりあえず染みになる前に洗います!!服脱いでください!!」

『わぁお、たしぎちゃん大胆♡』

「無表情でふざけないでください!!」



服を脱がせにかかったたしぎに軽口を叩いたアルトはおれの方を向いてニコリと笑った。



『おかえりスモーカー。邪魔してんぜ』

「それはなんだ…」

『トマトジュース』



濡れた手を前に突き出され、おそるおそる匂いを嗅いでみれば確かにトマトの匂いがした。
青臭いような、紛れもないトマトの匂い。


大惨事ではなさそうで安心したというのが今のおれの心境だった。



「“吸血性愛者<ヴァンパリズム>の客人にはトマトジュースか」

『吸血されてェ?』

「勘弁しろ。ただでさえ疲れてんだ」

『あ、そういえばモンキー・D・ルフィと戦ったんだって?羨ましいなぁ』

「……」



裸でいさせるわけにはいかねェ。
服を貸してやれば案の定ぶかぶかだった。
筋肉質なおれと違い、アルトは細い。
筋肉がつきにくいらしく、腹筋は割れてるものの奴には筋肉と言える筋肉がない。



『いやぁ、でもたしぎちゃん可愛いな』

「あんなことされてもか」

『ドジっ娘萌えと言う言葉があるらしいよ』

「度がすぎれば苛立ちしかでねェよ」

『スモーカーは心が狭いねぇ』



ソファに腰掛けたアルトは忙しく働くたしぎを見つめて笑った。
こいつは女が寄ってきそうな綺麗な顔で女が好きそうな言葉を天然で言う。



「アルトさん、とりあえず漂白はできました!!干しておきますね」



濡れたコートを手にしていたたしぎはそう言ってロッカーに向かって頭を下げた。


その姿を見て爆笑するアルトは果たして優しいのだろうか。










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