依存している。
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『美味しいな、このせんべい』
片方の頬を膨らませ、微笑むアルトは口の中のせんべいを無理やり流し込むようにお茶を飲んだ。
アルトの目の前に座るのは同じ中将のモンキー・D・ガープ。
同じといってもガープは昇格を何度か蹴っているため、立場的には全然違うのだが。
『そういえばルーキーのモンキー・D・ルフィと知り合いなのか?』
「あぁ、ルフィはワシの孫じゃ」
『なるほど、だからあの強さ』
一人納得したアルトは一枚せんべいを取ると口に含んだ。
『というか、あんた息子さんいたんだ』
「知らんかったか?わしの息子は“革命軍”のモンキー・D・ドラゴンじゃ」
『へぇ、あの有名な』
一通り食べて満足したのか、二人は同じタイミングでお茶を飲もうと湯飲みを傾けた。
息を吐き、机の上に湯のみを置けば何かを思い出したかのようにガープが声をあげた。
「あ、これ秘密じゃった」
『おや、大変』
「忘れてくれ」
『んー、ちょっと無理だなぁ』
少し困ったように笑うアルトとそれを見て豪快に笑うガープは仲睦まじく、家族のようにも見えた。
実際、小さな頃からめんどうを見てもらったためアルトにとってガープは自分のおじいさん同様だった。
「…貴様達…まだ此処にいたのか」
のほほんとした空気を出入り口からいとも簡単に破ったセンゴク元帥は呆れたようにため息をついた。
「ガープ、貴様はまだ仕事を終えていないだろう。早く自分の部屋に戻れ」
『あ、おれも仕事に戻る』
傍にかけておいたコートを羽織り、アルトは立ち上げるとセンゴク元帥の足元にいた小さなヤギの頭を撫で、微かに笑顔を向けた。
『では、失礼しました』
丁寧に頭を下げ、二人に背を向けるとセンゴク元帥に呼び止められる。
「…いつまでその真っ白いコートを羽織り続けるつもりだ」
『おれがここを止めることになるまで』
「……そうか」
では失礼しました、と二回目のあいさつを口にすればそれ以上の言葉は返ってくることはなかった。
静かに部屋を出たアルトは廊下を淡々と歩く。
風で揺れる海軍用の白いコートは真っ白で。
他の海兵のコートに掲げてある“正義”の二文字は綺麗に消えていた。
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