萌黄の風
□熱帯夜を泳ぐ夢
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部屋が暑くて眠れないのか。
貴方の笑顔を思い出し身体の熱が上がって眠れないのか。
――誰か教えて下さい。
部屋は冷房が利いているが設定温度は28℃
喉を痛めるし消してしまうこともあり寝不足だ。
ただでさえ不眠症なのに…
昔は昼寝も全然しなかった。
今は部活やら何やらで疲れてすぐ眠れる日もあるけど。
なんて考える間に俺の瞼は閉じてゆく…
夢を見た…
俺だけのものになった君の凛とした綺麗な瞳
優しく微笑む口から漏れる声ーー
『愛してる』
そう囁かれて目が覚めた。
室内も窓の外もまだ暗く、夜明けは遠い。
再度眠ることは出来ないだろう。
だって耳に残った君の声が暑くて…
とても暑くて…
だけど眠りの精よ。
どうかもう一度粉を撒いて。
朝への出口はもうすぐそこに来てしまうから…
眠いと目が言うのに脳が悪戯して、ベッドの上で想像に耽ってみたり 机の上に置いた読みかけの漫画を捲ってみたり……
次眠るときはさっきの夢の続きを、
次目覚めるときは夢が現実になることを祈りながら朝を待つよ。
また偶然を装い君に会いに行く。
人々が擦れ違う街中で俺 は君を見つけだして言うんだ。
好きです。
いつか大好きな貴方を手に入れるため 毎日貴方の夢をみて毎日貴方に会いに行く。