Free!長編@(番外編)

□ほんとうはね
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「どうしたの?」

ぼーっと黙ってたら名前に心配された

「あ、いや…」





名前は怒ったことねえのか?

名前は泣くことなんてあるのか?





聞いてもいいんだろうか…

少し躊躇った…






「ねえ!なに?どうしたの〜?」

やっぱり笑いながらそう言って

俺の膝に座って正面に向き合う名前

すっげぇ可愛い…じゃなくて!










「あ…いや…名前は、怒ることとか…泣くこととか、あんのかな〜?なんて…」









あ、言っちまった

名前の真っ直ぐな視線に負けて

思わず言ってしまった本音







名前は、へ?とキョトーンとしている

かと思えば今度は、口に手をあてて笑った







「何で笑うんだよ!」

恥ずかしいことを聞いたわけではないのに

笑われると小恥ずかしくなってしまう






「いや、ふふふ」

クツクツ笑う名前

俺は悔しくなって名前を抱きしめてやる






「…お前が悲しい時…何かあった時…俺が近くにいてやりてえんだよ…」







頭で考えるより先に声となってするりと

口から飛び出していってしまった

きっとこれが…本当に言いたかったこと…








名前は、「凛君…」と静かに言う







そして俺から少し身体を離して俺の顔を見る






ひどく綺麗に微笑む彼女にドキリと胸が鳴る







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