Free!長編@(番外編)

□ほんとうはね
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いつものように名前の部屋で

ぐだぐだと過ごす真夏の午前中





夏休みってのは長くていい…

部活がオフの日は名前の家によく来ては

泊まったり2人で出かけたりと

水泳以外の楽しみを満喫できる

初めの頃にあった変な緊張とか気遣いも

今では全くない…慣れってすげえ

でも未だに名前を見るとドキドキするし

一緒にいて飽きることなんてない…

それどころか名前への愛情は増す一方で

このままずっと一緒の空間にいたいくらいだ











……外はきっと、暑いんだろうな…




クーラーの効いた部屋で寝転がりながら

窓を閉め切っていても

よく聞こえてくるセミの声を感じて

外の溶けるような暑さを想像する












部屋から出ていた名前が

麦茶とケーキを持って戻ってきた



「このケーキ、親友名前ちゃんオススメのケーキ屋さんで買ったの!

これは絶対、凛君と食べたいなーって思ってさ〜!」



くっそ暑いだろうと思っていたのに

こいつはまた胃に重いもんを持ってきた

でも、名前の笑顔と可愛いセリフで

そんなことどうでもよくなったんだけど








「凛君、ケーキ食べれるよね?」

そんな物凄い笑顔で聞かれたら

例え食えなくても、食えると言ってしまいそうだぞ



「ああ、大丈夫だ」

まあ俺は普通に食えるから、そんな心配いらねえけど






親友名前がどうとか言ってたケーキは

さすが、親友名前…結構うまかった

親友名前は自分の好きなことならなんでも知ってる

遊び場とうまい店ならネットで検索するより

あいつに聞いた方がよっぽど頼りになる








「ねー!親友名前ちゃんに後でお礼言わなきゃ〜!」

食べた後に名前がそれはもう

嬉しそうにキャッキャと笑う

ほんと、見てて飽きない笑顔…












名前はいつも笑っている…





ふと、名前を見て思い出した


初めて話した時…

祭りでナンパされてた名前を助けた時…




あの時も名前は笑ってた





泣いてる姿を一度も見たことがない

怒った姿を一度も見たことがない






こいつ…怒っても笑ってそうだ…



いや…それは逆に一番怖いんじゃねえか…!?









そんなことをぼーっと座りながら考えてた










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