Free!短編
□素直じゃないスナオなキミ
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「真琴のバカバカバカバカああああ!」
今日も浴びせられる罵声のような大声
"のような"ってだけで別に俺は罵声とは思っていない
だってほら、顔真っ赤だし
俺は結構、この顔が嬉しかったりする
「寝グセくらい自分で直せるから!触らないで!!もう!!」
小さな鏡をカバンから出し、相変わらず赤い顔で
ピンと跳ねている髪の毛をさささと手で撫でる
俺の前の席に座る名前、俺の好きな人
おっちょこちょいで慌てん坊な名前
それでいて素直じゃなくて、すごく照れ屋
よく分からない性格の中に隠された
"スナオ"で可愛い名前はいつも俺の前にいて
こうやってさっきみたいに
寝グセを直してやるだけで動揺して怒ったり
いつもはきちんと締めてるリボンが緩んでいた時も
直してやれば顔真っ赤にして怒ったっけか
名前は、いつも何かを忘れている
今日は完璧か、と思っていても
足元を見れば学校のスリッパだったり、ね
ほんと、放っておけないっていうか
そこがすんごく可愛いんだよね
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