Free!短編


□怖がり
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「入ろうよー!」


「嫌だ!」


「大丈夫だって!」


「全然大丈夫じゃなーい!」


「…2人で行けば?」


「怖くない!…って違う!!」

















今日は真琴と2人で遊園地デート

遊園地と言えば、お化け屋敷でしょう

真琴に言ったら「それは違う」ってつっこまれた





私は結構お化け屋敷好きなんだけどなあ

休憩しながら真琴に言ったら頑なに断られ

今現在もめているところだ






私の彼氏の真琴は

こうみえてかなり怖がり

そこが結構可愛かったりするんだけど…





「真琴、お化け屋敷だよ?人が作ったもんなんだから何もおっかなくないって!」


笑いながらそう言うと

真琴はブンブンと首を横に振り


「そうやって油断してると、泣きをみるんだぞ!」


だってさ、ああ可愛いねマコちゃん

一番泣きそうなの真琴じゃん








「も〜、私がついてるって!私の方がお化けより強いって思えばいいじゃない」



我ながらイケメン発言をしたと思っている



「ああ、それいいね」


手を叩きながら真顔で納得する真琴

そここそ全力で否定しろよ








「ったく…じゃあ行くのね?」

そう聞くと真琴はまた顔が青くなって

「やっぱり…嫌だ!」

と再び駄々をこね始めた





えええ!と声をあげると

真琴が「名前は…」と言ってきた


「何?」


そう聞くと、真琴は俯きながら







「怖がりの男って…やっぱり…嫌い…?」






なんとも可愛いことを言う彼氏

つい真琴の困ったような顔にきゅん、ときた

仕方ない…今日はお化け屋敷勘弁してあげよう






私は真琴の手を両手で包んで

「真琴」と呼んだ

真琴はまだ、不安そうな顔で私をみる





「怖がりの真琴、私は好きだよ」




しっかり目を見て言うと

真琴の顔はみるみる赤くなって

次には嬉しそうに笑う

この笑顔が何とも言えず、好きだ




「私は真琴が大好きなんだから、そんなこと言わないで」




そう続けると真琴は




「うん、ありがとう名前…俺も…怖い名前も大好きだよ!」




「☆」が付きそうな勢いで

それはもう爽やかに言われた

怖いってのが無かったら胸きゅんだったけどね







これだから、天然は…!






「真琴、やっぱりお化け屋敷行くぞ」





イスから立ち上がり真琴の手を引いて歩き出す





もう容赦はせん













ええええ!?名前ーーーー!?









嫌だ嫌だ、言いつつ

ちゃんと手を握ってついて来てくれる真琴が

本当に可愛くって愛おしく感じた








また行こうね、お化け屋敷





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