奇跡
□*キセキの料理。
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火黒料理
…火神宅で二人が食べる料理のこと。
主に卵料理で甘味が強い。
肉を食べない黒子の為野菜が多い。
作るのは大抵火神である。
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いつものようにエプロンを着た
火神はフと思った。
―――いつも俺ばっかりが飯じゃん。
そういや黒子料理できんの?…と。
「黒子、晩飯作れ」
今日黒子は火神宅で泊まる。
クッションを抱きしめ火神の姿を
見つめる黒子は眉間にシワを寄せた。
「…ヤです。火神くんお腹壊しますよ」
…黒子は以前、調理自習の際に作った
クッキーを火神にプレゼントしたところ次の日腹痛で唸らせた。
「…大丈夫だ、」
もしもの時のために既に薬は用意している。火神は学んだのである。
「……分かりました、じゃあ
エプロンお借りします。」
期待の眼差しに負けてため息をつけば
火神愛用の黒エプロンを着て
キッチンに立った。
火神はその後ろ姿を
ジッと眺めていた――――。
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テーブルの上には
玉子焼き、肉野菜炒め、
味噌汁にご飯が並べられた。
メニューを聞く限り、
少ないようだが量は半端ない。
玉子焼きに関しては何回巻いたんだよ
と言いたくなる分厚さだったのだ。
多少焦げてはあるが見た目は
美味しそうである。
あまり味噌汁、ご飯を食べない火神は
「いただきます!」と言って
期待しながら箸を握る。
正面では不安そうな黒子が
同じように箸を握る。
その視線に気づくも
火神は皿の食べ物に集中した―――。
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「ごちそうさん!!」
――モグモグしながら手を合わせる。
少しばかり塩辛かったが
いつも甘い為いい具合だった。
皿には何も残っていない。
黒子はホッと息を吐き出す。
自信がなく正直マズイと言われると
思っていたのだ。
「また作ってくれよ?」
ニッと笑って黒子を撫でると
微笑みながら頷く黒子。
次に泊まるときはどちらが
担当なのだろうか―――――。