□アンケート1人目様
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 ただ、お互いが不器用すぎるだけなのだ。

 なかなか口に出せない笠松と、口は達者だがいつも大事なところが言えない黄瀬。



 「センパーイ!聞いてくださいよ、俺ドラマの主演もらっちゃったッス!」

 俺ってばスゴいでしょ?誉めてよ、ねぇねぇ!




 と言わんばかりに目を輝かす黄瀬。だが、笠松はその態度が気に入らなかった。
 もちろん、主演が勤まるのは本当にスゴいと思っている。

 ……だが、それを緊迫した空気の中で言うことではないのではないか、とも思った。

 モデルとしての黄瀬は、笠松には到底出来ないようなことまでサクサクやっていく。キラキラ輝く笑顔なんて、真似できない。

 だが、モデルではなくバスケ選手の黄瀬としてはモデルとの掛け持ちの時点でアウトなのに、加算してドラマの主演だなんてで。

 黄瀬のプレイに歪み一つないのは知っている。だが、それも所詮はコピーに過ぎない。もし、黄瀬でさえもコピー出来ないような相手と当たったら……、黄瀬の今までのコピーが全てかわされてしまったら。

 笠松は、勝ちたい一心だ。勝ちたくて勝ちたくて勝ちたくて。 勝負に飢えている。

 なのに、どうして熱気の籠った部活を冷やすのか。笠松には理解不能だった。

 はっきり言えば、モデルを辞めてほしい。
笠松を含め、海常高校バスケ部員はバスケをするために技を磨いている。
黄瀬は、その志しがうかがえない。

 モデル>バスケ
だとするならば、今すぐ辞めてもらいたい。








だが、笠松が堂々と言えるはずもない。

黄瀬と笠松は交際しているとはいえ


所詮は赤の他人なのだから……。
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