青春

□知ってる?俺って…。
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「花宮ァア!!!!この前はよくも
やってくれたな!!」

「てめぇのせいでバスケ出来ねぇ体に
なった奴もいるんだぞゴラァ!!!」

怒鳴りこんできたのは何処か見覚えのある制服を着た男子5人。
そんな5人のことを原は覚えておらず花宮に尋ねる。

「ねぇ、あれって誰?」
「前に練習試合しただろ。」

…あー、そうかも。と言いながらも
覚えがない原はズボンのポケットからガムを取り出した。

「んなもん知るかよバァカ。そもそも
避けなかったトロいアンタらが
悪いんじゃねぇの?」

花宮は年上相手にもいつものように
5人を論破していく。彼の強気な口調に腹が立たないワケがない。

気性の荒い1人がいきなり花宮に
殴りかかった。

ガツッ…!!!


反応が遅れた花宮は思いっきり
頬を殴られ後ろによろけた。

――…一瞬だった…。

「ぐぁっ!!」と呻き声をあげて急に
倒れた男子は怯えた様子。
その目線の先には先程まで何も言わずクチャクチャとガムを噛んでいた原。

「ちょっとちょっとー。
うちのキャプテンにさー…
何やってくれてんの?」

グレープ味が薄くなり
上手くガムを膨らませる。

残りの4人が狼狽えながら原を睨む。

そんなこと気にもしない原は
ガムが鼻につくぐらいに膨らませ、
また軽いフットワークをしながら
頬の辺りで拳を握る。

そしてガムをもっと大きくさせようと
息を吹き込んだ…。

パンッ!!と短い音を立てて割れたガムを合図に原がフットワークをしながら
4人に詰め寄っていく。
相手が狼狽えている隙に先程の強烈な
パンチを繰り出す。

一瞬のうちに

ガツッとパンチが当たる音、

シュッと風を切る音、

グッ!と呻き声をあげる音、

クチャクチャとガムを噛む音。



そして――…




「…ッ……、」



花宮の息を飲む音が
一気に聞こえた…。

そんな花宮の方を振り返り
またシャドウボクシングをする原は

「な?やっぱ強いだろ?」

と髪に隠れて分からないが
確実に笑っている瞳をしながら
自慢気に話した――…。
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