青春
□知ってる?俺って…。
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部活に一足早く来た花宮は珍しく
先に来ていた原が軽いフットワークを
しながらバスケとはうって変わった
競技をしているように見えた。
少ししてから気がついた原。
なぁ知ってる?俺って強いんだぜ?
そう言って笑う原は自慢気に花宮の
前でシャドウボクシングをする。
シュッシュッと風を切る音と共に強烈なパンチが繰り出される。
そんな様子を「あほくさ。」と
言いながら部品の数を数えつつ、
尻目で原を見守る花宮。
それをラフプレーとして
使うことはできないかと考えていたが
追い討ちをかけるように
「これはバスケじゃやんねーよ」
と苦笑しながら言う原。
使えたらすごい戦力になるだろう。
だが本人が嫌と言うなら仕方ない。
少し渋りつつ諦める花宮。
花宮はボクシングのことは無知だが、
原の繰り出すキツいパンチが
当たれば相当痛い。
それぐらいはわかった。
そんなときである…。
体育館の扉が蹴られて、
鈍い音をしながら開いたのは――…。