青春
□悪童生誕祭
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今吉との誕生日[中学時代]
「花宮、今日誕生日やなぁ?」
「はい…、それが何か…?」
いつものように二人揃って偽りの
笑顔を作る。花宮は今吉の質問内容に警戒する。今吉は分かっていながらも話を続ける。
「そんなお前に…これ。
ワシからのプレゼントや。
おめでとぉな、花宮」
「…ありがとう、ございます」
一瞬期待するもハッとした花宮は苦い顔をした。今吉がニッコニッコしている…。何を企んでいるのか分からないような笑顔で
「開けてみてや、絶対喜ぶで?」
と急かす。
警戒心がとけないままプレゼントの
袋を開ける…。
「……?バッシュ?」
黒に濃い紫のラインが伸びている
綺麗なバッシュが入っていた。
今吉は「せやで」と言う。
「それ大分履いとるやろ?
そろそろ変え時や思ったさかい。」
確かに花宮のバッシュは薄汚れていて何年も履いていたようだ。花宮自身も買おうと思いつつ行く機会がなかったのだ。
色も自分好みでサイズもぴったりで…
予想外のプレゼントに思わず
偽りの笑顔を壊して素を出す。
「…アンタにしちゃ良いプレゼント
考えたもんだな」
「おおきに…。また履いてや?」
ゲスが入った花宮をヨシヨシと頭を
撫でて耳元に口を近づける。
「産まれてきてくれてホンマに
感謝しとるで…。」
これまでにないくらいの甘い声で
言われて思わず耳を押さえて
頬を赤くする。今のはコイツの偽り!
…そう思っても赤い頬は直らない。
「っの…!!!バァアカ!!」
いつもの気迫がない花宮を今吉は
ハハッと笑うと花宮とプレゼントを
一緒に抱き締めて、もう一度心から
おめでとう、と囁いた―――。