青春

□君のペース
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「ふーん」と興味なさそうに言えば
伊月をジッと見つめる。

「…何だよ」

興味ないなら聞くなよ!
と言いたくなるがグッと堪える。

「…イメトレの相手には
勝ったのか?」

「あ、嗚呼…」

日向がレイアップシュートを入れた
瞬間のことを思い出して頷く。

「そうか…!」

ガシガシと乱暴に頭を撫でてくる
日向はどこか嬉しげで…。

視線に釘付けになるのに気づき
慌てて背ける。

「ひ、日向のシュートで試合終わった」

恥を捨てて言いチラッと日向を見れば
ハハッと笑った。

その顔は、大人びて見えるが
子供の幼い笑顔にも見える。
カッと頬が熱くなるのがわかった。

「俺のシュートか…。
じゃあ次はイメージじゃなくて
リアルで入れねぇとな!」

嬉しそうに笑ったと思えば
周りに見つからないように優しく
頬にキスを落とす。

急いで頬を抑えるとその間に
ドリブルしていく日向。

「うあー!」と恥ずかしくなり
軽い雄叫びをあげながら
しゃがむ伊月の顔は真っ赤。

イーグルアイの集中力を高めようと
していたのに一瞬で妨害されて
集中が続かない…。

日向のペースにハマると
どうしても集中が途切れる。

彼が相手になれば怖いなと思いつつ
また上手く入れる日向にイチコロの
自分が情けなった。

次は日向のペースに
ハマらないように練習するのが
目標になった伊月だった。
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