奇跡

□*キセキの旅行。
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――7411… 。

 なんとまぁ…。
自分と黄瀬の背番号とその足した数が受験番号だなんて…。
 思わず苦笑いを浮かべる。
そんな謎の運命的な数を他の高校生に
混じって探す。

 笠松は1人で訪れていた。

――周りでは涙を流しながら喜ぶ者、
喜びではなく、悲しみの涙を流す者。
 周りと同じように泣いてしまう姿を
見せたくなかったからである。

…緊張するのはいつぶりだろうか…。
 なんて考えながら7411を探す。

 大学はほとんどバスケの為に
入るようなものだった。
 推薦ではなく、自分の実力で
大学を受験した。
 これで失敗したら両親との約束で
バスケを断ち切り、親が経営する
会社で働くことになっていた。

 バスケをやめることは
考えられなかった。今までの思い出を
全て失いそうで…。
 常に学年の5位以内に入っていた
笠松だったがいつも以上に勉強した。

 そして今日、発表なのである…。

7401、7402、7404、7406、

 まだ見つからない…。
 最悪のことを考える。
――無意識に下唇を噛む。

7409、7410、7411、7416…

「7411…合った…!!!」

 目を見開きながら7411を見る。
笠松はグッとガッツポーズした。
見つけた瞬間これで自由だと思った。
 高校では縛られっぱなしだったが
やっと自由の身になった。

――…無事笠松は行きたかった
大学に合格した。

 そして親にメールを送る。
[大学受かったから。]
短い内容だったが
こんなもんで十分だろう。

 次に自分のことを考えてくれた
恋人と何かと世話になった10人に
メールを送る。

 …既に受信ボックスは
結果はどうだ、受かったか、
恋人を含め11人から45通くらいの
メールが送られていた。

 いくらなんでも多すぎだろ…と
笑ってしまった。

[心配かけたな
今見てきた。無事合格してた。
ありがとな(´∇`)]

 柄にもなく絵文字もつけて送信。
協力してくれて受かったようなもの。
 本当に感謝しきれないくらいだ。

――その後始めにきたメールよりも
多い返信がきたのは言うまでもない。
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