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□美味しくなさそう。
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…いつの間にか己を傷つけていた。

ドロドロと赤い血が流れるのを
見つめてはまた新しい傷をつける。


既に左手は血みどろだが――…
この際どうでも良い。
どうせ手当てするのだから、と流れる
血を見ながら氷室は思った。

別に生きているのか確かめたくなった
…そういう思いはない。

生きるのが嫌で死にたくなぅあとか
…そういうのでもない。

…これと言った理由は氷室自身、
確かではない。しいて言えば…
ただの好奇心。

リストカット、アームカット、
響きが良かったからやってみた、
そんな感じである。

気持ち悪い、頭おかしい、
―――…何とでも言えば良い。

所詮、自分を傷つけるのは
興味があったから。

自分が何をしているのか
分かっているし偏見されていても
文句は言えない。


――――そんな考えの自分は
やっぱりどこかおかしいのかな、
と自嘲する氷室。

…何分か経って少し血が
固まってきたのに気づいて止血する。
ティッシュを適当に
何枚か抜き取ると腕に宛がう。



白が赤く染まっていくと
何かが満ちた感覚になった―――。

そんな時あの男に出逢った…。
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