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□この駄犬!忠犬!狂犬が!
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――ゴツッ!!と鈍い音と
共に倒れる笠松、ボールが転がる。

ピーッとホイッスルが鳴り響いた。

「〜ッ…」

…練習試合の相手はラフプレーを
中心とする攻撃的なチームだった。

第2Qまではこれといった
ラフプレーはなかったがついに
笠松が3Pを入れるときに
マークについていた背の高い選手が
ジャンプしたのを良いことに肘を
ぶつけてきたのである。

横になったまま立ち上がろうとしない
笠松に、いち早く駆けつけたのは
紛れもない黄瀬だった。

「センパイ!!大丈夫ッスか!?」

動かない笠松を起こす。
倒れていたそこを見ると小さな
血の水溜まりが出来ていた。

ハッとして笠松を見ると
パックリ額が割れていた。

「監督!!センパイがぁあ!!」

今にも泣きそうな黄瀬が監督に
声をかけた瞬間……、
思いっきり頭をしばかれた。

「いったぁ!!」

「うっせんだよファールぐらいで
ゴチャゴチャ言うな」

しばいたのは笠松だった。
左手で額を抑えながら右手で黄瀬を
しばいたのだ。

「大丈夫か笠松!?」

周りも駆け寄ってきていつの間にか
黄瀬と笠松を囲んでいた。

「大丈夫だ。」

心配性な彼らに主将としての
威厳を見せつけるように言えば
誰の手も借りずベンチに向かった。

監督はすぐに選手交替を命じた。
横に座った笠松だったがフラッと
体が揺れたと共に後ろに倒れた。

そしてそのまま保健室へと運ばれた。


黄瀬は笠松の姿が見えなくなるまで
ジッと見つめていた――。
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