フィアンセの恋
□第一話
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ここはグランドライン
かの有名なギャングたちが集う島
____花ノ国。
憲法を武器とし、周辺諸国にも轟く強者たちがそろう島だ。
その強者の島を取り仕切るのは、首領.チンジャオ率いる八宝水軍。
チンジャオはすでに隠居し、今は13代棟梁になったばかりのサイが取り仕切っている。
日々己のため、国のため精進する猛者たちだが今日は様子が違った…
サイ「ツァーッ!」
ブー「ホァ!ヤーッ!」
カラランっと音をたててサイの手から己の身の丈より薙刀が地面に転がった。
ブー「サイのアニィ。今日は全然集中できてないようだな。」
弟のブーが落ちた槍を拾いながら苦笑している。サイ自信もこんなに集中できてないのは初めてで戸惑っていた。
サイ「すまねぇ…」
槍を受け取り構え直した。
サイ「棟梁の俺がこんなんじゃあ示しがつかねぇな…もう一本頼む。」
ブー「…アニィ、今日の他のやつらの稽古は俺に任せて兄貴はもうあがったらどうだ?」
サイ「いや…そういうわけにはいかねぇ!」
反論しようとするとやけに強気にブーが遮った。
ブー「そんな腑抜けの兄貴を八宝水軍の奴等には見せれねぇよ。…今日は特別の日じゃねぇか。」
確かにその通りだった。先程から行っている稽古試合は10戦10敗していた。棟梁である自分が副棟梁である弟のブーに負けることなど滅多なことがなければないのだ。それが今、その滅多なことが起こっているのだ。
サイは少し考えて答えた。
サイ「…ドアホが。変な気を遣ってるんじゃねぇやい。わりぃな。」
ブー「任せろ。」
ブーがニヤリと笑みを浮かべた。
サイもようやく構えを解き、武道場に一礼しその場を去った。
武道場の外は活気に満ち溢れた市場通りだった。
住み処へと戻るためにはここの賑やかな通りを抜けなければならない。
一歩進むと果物屋のおばちゃんがでかい声をかけてきた。
「サイ!いよいよ今日だね!」
サイ「おい、おい…なんで知ってるんだ…」
露骨に嫌な顔をしたサイに向けておばちゃんが元気に答える。
「何を言ってるんだい!この国の全ての人が知ってるよぉ!こんなにおめでたいことはないからね!サイ!しっかりやるんだよ!」
サイ「やめやい!ばばぁ!」
そう言いながらサイはズンズンと市場通りを歩いていった。
そんな暴言をはいてもおばちゃんは全く気を悪くしていないようだった。
この国の人なら誰もが知ってる。
サイが口が悪くても根は優しく人望があること。
そして…今日がサイにとって特別の日であること。
特別の日…それは、婚約者との顔合わせの日であった。