short story~秘密の花園~

□星を継ぐもの
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どうしたら、そんな風に踊れますか。

どうしたら、そんな風に歌えますか。

どうしたら、どうしたら、

あなたのように、
堂々と舞台に立てますか。

「まこっちゃん、そこはな、
違う違うっ

そう、その角度やねん、
うん、そうそう!
ええ感じ!」

ちえさんに、新人公演の振りうつしをしてもらう。

出来るようで、ちえさんのようには
全く出来ない。

そんな自分にイライラする。

あんなに見てるのに。
毎日毎日、ちえさんばかり見て、
目を瞑ってても
ちえさんの動きが、全部浮かぶほど、

毎日見てるのに。

歌だって、
何処でどう掠れさせれば、ちえさんのように歌えるのか、
全部頭には入ってるのに、

声帯が、言うことをきかない。


「凄いよね、礼、動きも歌も、セリフも
もう全部入ってるじゃん」

同期にはそう言われるけど、
こんなのは出来てるとは言わない。


私が目指すもの、それはちえさん。

指先の動き、目線の動き、、
…全てが完璧なんだ。

私は目が離せなくて。
ちえさんから目が離せなくなって、

苦しくなる。

どんなに
どんなに私が
ちえさんの全てを記憶して、
コピーすることが出来ても、

私には届かない。

ちえさんは、届かない。

苦しいよぉ…
誰か、誰か。

せめてあなたの後を継ぎたい。
とんでもなく、大きな目標…ううん、
野望、だけど。


追いかけて、手が届かないなら。

あなたの後を

あなたの星を、
継ぐ者になりたい…!!

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