short story~秘密の花園~

□サンタに願いを
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「ねえ、しーらんさー、
いい加減ちえさんのこと好きだって
認めなよ?」

「なななな、何!?」

食べかけのコロッケが
あたしの箸から転げ落ちた。
ここはすみれキッチン。

何を言い出す?!ねねっ

「もう直ぐクリスマスだよ〜?
何年うじうじしてるの〜?」

突然の攻撃に
ブルー、防御不可能…

「ね、ねね?
あ、あんたいきなりな、何言って、」

「うかうかしてると、まこっちゃんに先越されちゃうよ?」

あたしの言葉なんてどこ吹く風だ。

「待って待って、ねね、
何か言ってることおかしいよ?
仮にもちえさんの相手役はあんたじゃない…!
何か軽くない?
相手役さんが自分以外の人と…て、
そんなの許しちゃうわけ??」

やっぱりあたしの言うことなんて
さほど聞いてる風でもなく、
パクパクとクリームパスタを食べながら

「もぅ〜
しーらんさー、
あたしはぁ、舞台の上でちえさんの完璧な相手役ではありたいし、
そう努力もしてるよ?
でも、それは仕事だもん。
お互いプロだもん」

……カワイイ顔してサラッと大人びたことを言う。

そのつぶらな瞳は、
何もかもお見通し…?

「ね、ねね…、あたし、
あたし…そんなに
バレバレ…な感じ、なのかな…?」

「うん。面白いくらい」
即答。

「いいのよ?微笑ましいの。
でも、ライバルがどんどん増えてるから
ちょっと心配になってきたの」

心配、してくれてたんだ。
そうなんだ……
そんなことを心配してくれる、てことは…

「ねねは…、その、
ねねは…、経験あるの…?」

恐る恐る聞いてみる。

「女の子と?てこと?」
う、ストレートだなぁ。

「しーらんないの?」
何その、まさか無いの?的な
若干小バカにした言い方。
どーせ、どーせ!

「しーらん、下級生にはモテてるのになぁ〜。手出してないんだ?
まぁ、ちえさんがタイプなら他には興味ないかぁ」

わぁわぁ。

「ねね…?ちえさん…、
もしかして…ちえ、さんも…
女の子イケちゃうの…?」

一番聞きたかったコトかもしれない。


あたしの顔をジーと見て、
その答えを中々くれない…

意地悪な姫。


「知らなーい!!」

「えーっっ?!」

何なのよあんたー!肝心なとこそれ?!

「よくもそんなで、人のことを煽るよね…!」

「だってぇ。
だって、しーらん、
苦しそうなんだもん…

同期だから分かるんだもん。
なんとかなるものなら協力したいの…」

「ねね…」

どうしたことよ?
こんな可愛いこと言えたのね、この子。

ちょっと涙出てきそうだわ。


「しーらん…、元気だして?

あっ、そうだ!
私が試しにちえさんに迫ってみようか?」

「あほかっっ」
目を輝かして言うなっ

「やめてっ
ちえさんが本気になったらあんたどう責任取る気よ!
あたしにもとんでもなく失礼やわっ」

あービックリ。
さすが姫。

「自分で頑張るから、マジなんもせんといて。お願い!」

あたしの、言葉に渋々と言った様子で
「はーい」と返事をするかわいこちゃん。
これだから、憎めないんだよな〜

「まぁ…ありがと、
…ねね」

麗しき同期愛だ。
と、いうことにしておこう…




ちえさん、あたし、
側で、あなたを見ていられるだけで
幸せなんです…

あたしには告白する勇気なんて
ありません…

お願いです、
誰のモノにもならないで。


サンタさん、

どうか、どうか…
ちえさんが、
永遠にあたしの憧れのちえさんで
いてくれますように…


ーお願い、サンタさんー





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