野良猫の話

□宗就
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「宗茂!」


あまり聞いたことのないその人の大声に少しびっくりして振り返る。


「?、どうしましたか...?」


「あ、いや、その ...話があるんだ。」


疑問に思い相手を見つめるとすぐにそっぽ向いてしまう。


はい、と返事をして話をしていた子に別れを告げると元就公について行く。
ついて行くと同時に何だか緊張してきた。何故だろう。


「元就公、どうかしましたか?」


元就公の部屋に着き、座っては率直に話を聞き出す。


「いや、私はどうもしてないさ...」


...嘘だ。と言いたいが何かがあったのか元就公はいつも自分から言い出すから じっと待つ。


「...」


「......」


「...実はさ、」


この人の事なら読みが当たる確率が高い。
この声のトーンはまた孫の話か...。


「─、好きだよ。」


「...知ってます。」


読みが外れて残念、と言ったらおかしいだろうか。
とても歳上で頭がいつも冴えている筈の相手が耳まで真っ赤にしてこちらを見たかと思うとゴニョゴニョ下を向いて「そうじゃなくて、だね...」っと小さい声で呟くが、多分、


「...俺も貴方が好きですよ。」


この言葉が欲しいとみたので小さい声が聞こえるように少し近付き囁く。
案の定相手が恥ずかしそうにチラッと目線をこちらに向ける。


....今、わかったがまるで猫みたいな卑怯な可愛さを持っている気がしてならない。
いつもなら触ってしまうが今日は少し我慢して様子を見てみようかな。


「...」


「...?」


「...ほ、」


「ほ?」


「他の子とは喋っている暇があるのに
、えっと...私とは顔も見せてくれないのかい...?」




「.....ぇ」



....まさか、


「元就公、もしかして...」


「......」


「嫉妬、してるのですか...?」


困った。
目の前でやっと顔を上げるが
その顔は卑怯だ。


「...飽きたなら、飽きた。そう言ってくれれば私は気楽で良いし、君も荷が軽くなるだろう。私もやりたい事があるし、君だって自由にやりたい事とかあるだろう...?」


─違う、この人は、俺は─
言いたいことが頭の中で反響してまとまらない。
しかし身体は馬鹿正直で気が付いたら抱きしめていた。


「─、む、宗し...」


「元就公、誤解です」


「な、...何がだい?」


そこで惚けても通用しないんだが。


「心にもない事言わないでください。」


この際言う。


「俺は貴方が身動き取れないくらい束縛するので控えてるんですよ。」


「...─、」


「会う度に離したくなくなるし、貴方の好きな事もさせなくしてしまいそうだ。実際抱きしめたら容易離さない。」


正直鬱陶しいとしか無いと思っていたので我慢していたが、


「...わ、私は.........──...」


肝心なところが小さくなり聞き逃してしまった。


「すみません、もう一度よろしいですか?」


「〜〜」


すみません、わざとではないんです。
ただ本当に聞こえなかった。
次はないだろうから ちゃんと構える。
すると元就公の腕が首に回り込み
グッと口付けされる。


あ、初めてされた。


相手の目が良く見える、が、すぐに瞼を閉じてしまう。
積極的に舌を入れたかと思うと絡めて吐息混じりに微かに喘ぎが聞こえ愛おしくなり自分も舌を絡め始め追い詰めると もう いい。と身体を剥がそうとするが
俺がさせない。


「っ、は、はぁ...」


「─して、いいんですよね?」


糸引きながら熱い舌を離すとにこりと質問する。


ここまで煽っておいて駄目と言われても止められないが。


元就公も分かっているのか恥じらいながら目を伏せ小さく頷く


気が変わらない内に耳に近付き囁く。


「元就公、愛してますよ」


言ってる本人よりも聞いてる相手が真っ赤になってくれるので不思議と恥ずかしくないし、
なにより伝えられて嬉しい。


応えるのが恥ずかしいのか、
いや、いい気にさせない様言わないだけか
目を少し開け手を握っては口篭る。



....元就公、逆効果です。



指を絡ませ目を閉じ互を求め合う。

時間とかどうでも良い位に。
















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