So Am I

□閑話
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閑話



東京、渋谷駅前のスクランブル交差点は各国から来る外国人観光客にとって観光スポットとも言える場所だ。理由は一回の青信号でおよそ3000人もの人が渡るからである。
だが例えこれが渋谷駅のスポットであったとしても、利用者にとってはただむさ苦しく避けて通りたい場所であるのもまた事実だ。



そんな事を今しがた通って来た少女は思いながら待ち合わせ場所であるもう一つのスポット、ハチ公前にたどり着いた。キョロキョロと目を向け、ふと止めて手を振る先には着物を着た美少女が手を振り返しこちらに近寄って来る。



「真砂子っ!待たしちゃった?」

「私も今来た所ですわ。気になさらないで」

「ありがとう。じゃあ行こっか」



そう言って少女、美桜が手を真砂子に差し出し、真砂子はキョトンとして美桜を見上げた。



「人が多くてはぐれたらダメだから、手を繋ご?」



微笑む美桜に真砂子は戸惑いながらも手を差し出して繋いだ。幼い頃から霊能者としてテレビに引っ張りだこだった真砂子にとってこういう【友達らしい】行動は始めてであり、自分が相手に友達だと認識されている事が嬉しかった。



「まずはお昼済ましちゃおっか」

「なら行きつけのお店が近くにありますの」

「真砂子のオススメならきっと美味しいね」

「和食はお好き?」

「うん!」



たわいない話をしながら人の波の中を歩いて行く。春に美桜の学校で出会った二人は、事件が終わった後も直々連絡を取り合っていた。学校が違う為中々会えなかったのだが、何とか都合を合わせて遂に今日約束を取り付ける事が出来たのだ。



「ここですわ」

「趣あるお店ね。真砂子らしいわ」

「ふふっ」



中に入れば個室が並んでおり、芸能人御用達なのがわかる。店員に人数を告げ案内された部屋は座敷で、靴を脱いで上がった。その後は真砂子がオススメだと言うメニューをいくつか頼み、やっと一息吐いた。



「美桜とこうして仕事以外で会えて嬉しいですわ」

「私も嬉しい。まぁ今はナルの事務所で働いてるし、また会えるよ」

「そうですわね。谷山さんもなのでしょう?」



と少し不満気な雰囲気を出す真砂子。美桜はそれに気づかず「うん」と言った。



「まぁ主に雑用なんだけどね。私は今資料整理をしてるの。でもその資料が英語だから私一人なのよね」

「ナルは随分美桜を酷使してますのね」

「使われてるだけマシよ。別に地味な作業は嫌いじゃないし」

「美桜が生徒会役員に選ばれた理由、なんとなくわかりますわ」

「そう?」



クスクスと口元に袖を持っていって笑う真砂子に美桜も微笑む。そうしている内に一品到着してご飯を食べ始めた。

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