たんぺん
□サンジ
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コトン、と紅茶の入ったカップをお皿の上に置き、サンジが持ってきてくれたフルーツタルトを口に運ぶ。甘すぎないクリームと甘酸っぱいフルーツが口の中に広がって溶ける。
「ん〜美味しい…!サンジくん、いつもありがとうね。こんな美味しいデザート作ってくれて。」
「どういたしまして。○○ちゃんのためならいくらでも作ってあげるよ。」
「ほんと!?えへへ、サンジ君、大好き!」
そう言うとにっこりと笑うサンジ。
その笑顔につられ、○○もにへらと笑い、タルトをもう一度口に入れた。
サンジはそんな○○を微笑ましげに見ながら自分用に淹れた紅茶を口に含むと、聞こえないくらい小さなため息を吐いた。
しかし、今部屋はしんと静まり返っているため、小さなため息でも嫌というほど聞こえるわけで。
○○にはしっかりと聞こえてしまったようだ。
「…最近、サンジ君よくため息ついてるよね?」
「…えっ…あ、はは…聞こえちゃったかな、ごめんね?」
「私は別に…サンジ君、最近元気ないよね?どうしたの?」
「…最近悩みができてな。○○ちゃんがよければ、聞いてくれるかい?」
「えっ悩み…?わ、私でよければ話聞くよ!」
「ありがとう。」
サンジはニコッと笑うと手に持っていたカップをコトンと置きいつになく真剣な顔で○○に告げた。
「俺…好きな子ができたんだ。」
数秒の沈黙。
○○の瞬きの音も聞こえてきそうな妙な時間が流れた。
「え…ええええぇ!!!」
「あの女好きのサンジ君が!?」
「ひ、ひでぇぞ○○ちゃん…俺だって人間なんだからひとりの女性を好きになることだってあるぜ?」
「あ、ごめんね…?へぇーでもあのサンジ君がねぇー…!この船にいる人!?」
「うーん…まあね。」
「へえー!!やっぱナミ?あっでもサンジ君意外とロビンとか!」
「はは…そこはシークレット、かな(どうして自分っていう選択肢がないんだよ…)」
「えー教えてよー!あっじゃあさ!その人のどこに惹かれたの!?」
「えっ……うーん…可憐で、おっとりしてて…」
「うんうん」
「危なっかしくて…どこか抜けてて、にへっと笑う笑顔が可愛くて。」
「最初はなんとなく、笑顔が可愛いなーって思って見てただけだったんだけど、気づいたらずっと目で追ったり、ルフィと一緒にいるとこ見ると、イライラしたり…嫉妬しちゃったりしてさ。ああ、マジで好きなんだなーって、思っちゃってさ…さっきだって、目ぇキラキラ輝かせて、大好きだなんて言われて…期待、なんかしちまってな。ははっ、情けねえ。…ごめんな、○○ちゃん。こんなこと話すつもりはなかったんだけど。」
「…サンジ君。」
「…な、んだい?」
その人、こんなに想われて幸せだね!
(………は?)
(大変だろうけど、頑張ってね!私、応援してるから!)
(えっちょ…○○ちゃん、気付かなかったのか?)
(…?何が?)
(…えぇー……ははっ…いや、なんでもねえ。思った以上に手強い相手だなーって思っただけだ。)
(?)
2014/1/1.
サンジ君好きよ。
お題は「確かに恋だった」様から。