わがままなハムスター(女夢主)

□いざ、旅行へ!
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そして、当日旅行の日。
あたしは朝、叩き起こされ
車に乗せられた。
しかもケージごと。

何故ケージごとか。って?

車は6人座れる車だが、狭いという理由で
あたしは必然的に後ろの荷物入れに
入れられる。

ペットショップから家に運ばれるときに
乗ったことはあったけど
ケージごとは初めてだ。

寝ようとすると車が揺れてあたしは
ケージの壁に激突する。

ちょっと!もっと綿とかチップを
多めに入れてよ!と騒ぐが
今はハムスターの状態なので
人間にはあたしの声は届かない。

こんなことならおばあちゃんに
ハムスターのまま話せる魔法を
教わっとくんだった。

そんなあたしの気持ちも知らず、
車は左右に揺れる。

着いたのは、目的地まで
あと半分! って
とこのパーキングエリア。

あたしはそこで
初めて人間の

「お昼ご飯」

を体験することになった。

車から皆が降りる。
そしてドアを閉めようとするパパ。

『ちょっと!!
あたしを忘れないでよね!!』

と、ちぃぃぃぃっ!!と鳴いて
存在をアピールする。

パパは、しまったといいながら
家族全員に話しかける。

「おい、こころはどうすんだ?」

「夏だしなぁ……、暑いし
可愛そうだから一緒に来る?」

目を細めて頭をポリポリかきながら
強志はケージを開けてくれた。

あたしは頬袋に一個魔法の種を
入れ、ケージから出る。

そして、人目につかない車内で
お姉ちゃんが事前に準備してくれた
洋服を着て、変身をした。

サイズも好みもぴったりだ。
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