短編集
□好き好き大好き
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『ねぇ、オヤジぃ』
「ん?どうしたァ」
『えっとね、好きなひとってなぁに?』
「「「「「ぶふぉっ!!」」」」」
時刻は夕方。
少し早いが、宴をしている真っ最中だ。
そんな中、急に聞いてきたのが《好きなひとってなぁに?》だ。
ウィルという青年は、見た目に反して言動が幼く、
育った環境の所為か言葉をあまり知らない。
しかし、《ここでオヤジに聞かなくてもいいのではないか!?》
クルーたちの心の声は同じだったはずだ。
「オメェ、んなことも知らねェのか…?」
『?…うん』
「そうだなァ…
ウィルにとって、一緒に居て楽しいヤツや心が温かくなるようなヤツのことじゃねェのか?」
『んー…?』
ウィルにはまだ難しかったかァ?と
陽気に笑う、オヤジ。
「ウィル、どうしてそんなことを聞くんだよい?」
『んとね、本をよんでたら好きなひとってことばがあったから?』
「なんで、疑問系なんだ…?」
マルコとサッチ、その他のクルーがウィルの周りに集まってくる。
「いきなり、んなこと聞くから驚いたぜ!」
『あ、でもね。ぼく、なんとなくだけど
わかった気がする!』
「お、そうか!」
「誰なんだよい?」
全員がウィルの言葉を待つ。