長編「芸人がアイドルになりまして」
□第1話「決意とレッスン」
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【桂馬side】
ここは吉本興業の社長室。
俺と亮のコンビ「ラインドライブ」がこれからどうなるのだろうか。
俺と亮は秋元先生から俺たちの処遇を聞くことになった。
まず所属事務所は吉本興業からAKSに移籍。
発表と移籍は9月のじゃんけん大会。これから9月までは仕事は新喜劇のみ。
AKSに移籍後も新喜劇には「客員」として出演してもらう。
空いている時間はレッスンをしていく。
給料は今月と同じ額を来年の3月までは保障する。
俺はAKB48の5期生。つまり指原、きたりえなどと同期。
亮はAKB48の6期生。つまりはあきちゃと同期とする。
チームとしての所属
俺はSKE48のチームSに所属する。
亮はAKB48のチームBに所属する。
「ラインドライブ」は派生ユニットとしての活動となる。
つまりはNotyetやノースリーブスなどと同じ扱いになる。
一通り説明されて秋元先生は続けて話す。
「二人とも、どうかね?AKB48グループに来てはくれないか?」
聞かれて俺たちは、
「う〜ん・・・。」
「・・・正直・・・。」
「2人とも・・・乗り気じゃないね。」
秋元先生は雰囲気で悟ってくれた。
俺は思いを伝える。
「なんで俺たちなんですか?かわいい新しいメンバーを入れたりとか移籍とか方法はあると思うんです。」
「そうそう。しかもなんで芸人の俺たちなんですか?」
亮も意見を言う。
秋元先生が答える。
「君達の力がほしい。今私たちに足りないのはMCやしゃべりの能力だ。そして爆発力がほしい!この2点が大きな理由だ。AKB48はもうすぐエースの前田敦子が抜ける。たぶんこの後も1期生のメンバーや2期生のメンバーも抜けていくだろう。その中で生き残るためにはしゃべりも必要だと感じた。女性のしゃべりだけでなく男性との喋りが必要だと思う。お願いだ!私たちを救ってくれ!」
俺と亮は見合った。
そこで社長が口を開く。
「二人とも、これはチャンスやないか?」
「「えっ?」」
「おもしろいやないか。小学生のころから芸人として活動し続けてきて、今まであんまり女の子と接する機会もなかったんやろ?さらに芸の幅も広がるし二人とも運動神経も良いんや。芸人も続けていけるんや。挑戦してみてもええんやないか?」
社長の話を聞き、俺は亮に言う。
「・・・やってみるか。」
「・・・うん。・・・そうだね。」
秋元先生は安心した表情を浮かべた。
社長が話し始める。
「よっしゃ!桂馬は明日から名古屋、亮は東京に行ってこい!」
「「はい!」」
『ラインドライブ』は新たな大いなる一歩を踏み出した。