間違い探し
□STORY5〜yuta…〜
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後ろに衝撃が走った。
いつもなら祐希だけど、今回は違った。
「ふふっおはよう、悠太くん」
ふわっと笑う彼女、名無しさんは本当にオレと祐希の違いがわかるんだろう。
『全然違うよ』って言った彼女の目はまっすぐで
大きな目が本気を物語ってた。
悠太「…あの、苗字さんはなんでオレ達が全然違うって思ったんですか」
意味がわからなくて
「雰囲気全く違うでしょ」
あとねーって指折り数えながら違いを言う名無しさん先輩の伏せた目に揺らいだ光は
そっとオレの方に向けられた。
「ね??違いを挙げれば結構出てくるよ??」
悠太「そう、ですか。」
これ以上、目を見てたらなにかが壊れそうで
彼女をおいて下駄箱に向かった。
「ふふっ足、速いね(笑)」
透き通るような凛とした声が聞こえたから、なんだか罪悪感しますよ??
足を止めざるを得ないじゃないですか。
悠太「苗字さんは行かないんですか??」
「行きますよー??」
とんとん、と音がなりそうな歩き方で、後ろにくる。
足を止めたまま、彼女の後ろ姿を見ていた。
…見惚れていたのかも。
そんなことを考えてるのを知らない彼女はくるっと振り返って顔の横に垂れてた髪の毛を耳にかけながら
笑いながら
「早くしないと遅刻だぞ、そこの一年くん♪♪」
……時間が止まったのかと思った。
一年くん、か…
オレは子供扱い、ですか。