深海少女

□悲しみの海。
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貴女side

時は過ぎて今は帰りの会。

なんか、放課後はナシになったらしい。

あの"遊び"が。

その理由はいとも簡単で、ただ単に合コンに誘われたから、らしい。

嫌味ったらしく言われたが、私はそんなの興味がない。
あるとしたら、水だけだ。

あと、海と空と山。

とにかく自然が好きなのだ。

下駄箱に行けば靴の中に画鋲が入っている。

…いつものことだ。
それよりも、もうちょっとレパートリーを増やさないのか、とつくづく思う。

まぁ自分が傷つくだけなのでこの事は心の中にしまっておくが。


真「はるー!次、はるの番!!」

…そういえば最近水泳部ができたんだとか。
渚くんが必死に部員募集してたな。

そんなことを思いつつもフェンス越しにはる、って呼ばれてた人がプールに飛び込んだ。

「な、に…あれ。」

渚「すごいでしょ??イルカみたいでしょ?はるちゃん!」

「うん…ってなぎ、さ君!?」

いつのまに!?

いやいや。

渚「そだよー??」

こんなとこうちのクラスの誰かに見られたら…

「そう…じゃ。」

帰ろうとしたその瞬間上から待て、と言われた。

誰かと思って上を見上げれば眩しい日差しとフェンス越しに顔があった。

「あ、イルカさん」

名前もわからないその人をつい、イルカさんと言ってしまった。

遙「…は?」

「あっ、いや。なんでもないです」

渚「あははっまりちゃん、おもしろーい!!」

「私の名前…」

覚えててくれたんだ。

渚「うん?まりちゃんでしょ?」

「うん、ありがと。」

えー?なんでー?とか笑いながら言われたけど私は少しお辞儀をしてから、じゃ。といって帰ろうとした。

遙「待て」

「はい?」

遙「まりは泳げるのか」

当たり前。
私の唯一得意なものだ。

「泳げますけど…」

遙「なら泳げ。」

「…は?」

イルカ先輩は少し顔をしかめながらもう一度言った。

遙「なら泳げ。」

全く同じ事を言われたので多分私の顔はマヌケ面だろう。

真琴「ちょ、はるー!急にそんなこと言っちゃダメでしょー?」

遙「見ろ。こいつの顔」

え、何。
私ですか?
何か変なもんついてるからプールの水で流せって意味だったの??

渚「まりちゃん、どうしたの??」

「え?」

真琴「ほら、何かあったんだよ、きっと。」

意味がわからない。
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