天獣

□仮
2ページ/52ページ

『学園都市では次世代機械技術として、私達魔法科学技術を応用する事を決定し…』

そんなニュースが流れる駅前。
そこには案内を待つ生徒で溢れていた。

「えー、新設の学校はこちらー…」

学校は1つだけだと言ったが、それは去年の事。
増えすぎた生徒が街と学校に入り切らず、その規模と数を増やしたのだ。

「星燈学園の生徒はこちらへー」

今までの学校は統括本部として残り、学園の生徒は全て新たな学校へと振り分けられた。
また、寮も併せて併設され、一区画事に分けられた。
ここにいるのは新たな新入生だが。

『星燈学園は区分けされた学校の中でも指折りのエリートコースと言っても過言ではないでしょう。星燈、月光、日宮、海淵、そして空羽。エリートコースと言っても過言ではない学園が五つも出来ましたな。』
『勿論他の学園の生徒も「化ける」可能性はありますよね?』
『勿論ですとも。子供達の可能性は無限ですからな。この度の拡張ではこの五つの学園以外でも初等部や中等部も増設されましたから、必ずや伸びる子供達は出てきます。』

そんなニュースのコメンテーターの言葉を聞き流す一人の女生徒。

「星燈学園に入学の生徒はこちらへー!」
「…」


その視線の先は星燈学園の生徒達。
そしてこの少女も、星燈学園の制服に身を包んでいた。
ファーストフード店のカウンターに座る彼女の後ろでは、色んな制服の生徒が談笑している。

「なぁ、聞いたか?」
「何が?」
「Sランクの奴ら、各学校に散らばったって話だよ。」
「あぁ、あれか。でも二人ずつなんだろ?」
「らしいよなー。良いよな、星燈学園は。」
「な。なんたって「お姫様」がいるんだろ?」
「…」
「どんな子なんだろうな?Sランクっても公表とかされてないからわっかんないよなー?」
「なー。可愛いと良いよな。」
「な。」

そんな会話にため息をついて、少女は外に出た。
外に出れば新入生達がチラチラと少女を見ている。

「あの、あの子は…」
「え?あぁ、あの子は在学組ですね。皆さんはまず寮で荷物を置いてからの学園登校となります!」

少女はなんの気なしに新入生組を見た。
と、ちょうどこちらを向いていたのだろう男子と目が合う。
何がある訳でも無いが何故かお互いが目を逸らす事が出来ずにいた。
少女の足が止まる。

「ではバスに乗り込んで下さーい!」

誘導員の言葉に少女をまだ見たまま歩き出す少年。
少女はそれを見てふぃ
っと視線を逸らして歩き始めた。
少年が何かに当たり視線を僅かにずらす。
その視線を戻した時には、もう少女はそこにはいなかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ