新世界

□仮
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時の園の中心。
時空城はここ数年活気づいてきている。

「あぁっ姫様お待ちください!」
「お支度がまだ済んでおりませぬっ姫様!」
「おやおや、また姫様はお逃げになられたのか?」
「姫様どちらへー!?姫様ー!?」

調度品の影。
そこに赤ん坊から少し成長した水華が隠れていた。
慌てふためく侍女達を見てクスクスと笑う。
前世の記憶はあるものの、姫として育つ水華はそれだけでも品を持つようになった。
と、本人は思う。
暮らす環境で自分でも驚く程に変わるのだと実感したのだ。

「全く…皆をからかうのは辞めぬか。」
「おとたま。」

水華は至って普通に話しているつもりだが、如何せん身体はまだ一歳。
当たり前だが舌足らずになってしまう。
だがこれはこれで気に入っている水華だった。
そして父に抱き上げられ、侍女に見つかってしまう。

「あぁっ姫様!そのような所に!」
「申し訳ございませんっクロノス様!!」
「良い。このお転婆め。悪戯はちゃんと着替えが済んでからにしなさい。」
「あいっ!」
「「クロノス様!!」」
「おぉっと、私まで怒られてしまったな。」
「さぁっ姫様、
ミラージュ様がお待ちですよ。お支度を早く済ませましょう。」
「そうだな。」

あの日、水華を救ったのは時空神クロノス。
そして妻の元素を司る女神ミラージュ・マクスウェル。
そしてここは原初と時空の二つの国がある始まりの世界と呼ばれる場所。

そしてクロノスはこの始まりの世界の二国のうちの一つ、時の園の王なのだ。
二人の娘として産まれた水華はどちらの特徴を持っていた。
時の神クロノスの時と空間の力。
元素の女神マクスウェルの自然を司る力。
二人の力を受け継いだ水華は、二人の容姿までも受け継いでいた。
髪は金。
淡いハニーゴールドと言った色、そして毛先は父クロノスと同じ深紅。
そして瞳は深い群青だ。

「いやはや、若き頃のクロノス様とミラージュ様にそっくりじゃわい。」
「ええ、本当に。」
「だからこそ呼ばれたのかもしれんな。しかし…私はここまで手を掛ける程であったか?」
「ううむ。それはそれはやんちゃも…」
「特にオリジン様との悪戯にわたくし共は日々悩まされておりましたが。」
「う、む…」
「オリジン様もお子が誕生されてお互い落ち着いてくるじゃろうて。」
「どうだかな
。奴を黙らせられるのはアリシア位だからな。」
「そのアリシア様も母となられて更にお強くなられるということですよ。」

この時の園がある始まりの世界のもう一つの国、原初の国にも国王がいる。
原初の神オリジン。
そしてクロノスとは親友である。
その名は原初の神のみならず、とても豪胆な人物であると噂される。
二国の王は互いに高め手を取り合って、二つの国は永い年月を繁栄に導いているのだ。
水華が産まれる二年前、その国王オリジンと妻、王妃…月光の女神アリシアの元に王子が誕生した。
現在は3歳だ。
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