異世界渡航

□蒼井君と美風君と、そして私。
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六年生になった。
びっくりした事があった。

私の…前世では声優をしていた人と同じ名前の子がいたから。
蒼井翔太くん。
可愛い子で良くからかわれている。

あまりにもうるさい。
から。

「人をからかってそんなに面白い?バカねぇ。子供すぎるわぁ。」

と、嘲ってみた。
伊達に毒舌の水華と呼ばれてないね。

「えと、ありがと…」
「別に。うるさかっただけだし。」

ああ、蒼井君をそのまま小さくした様な彼はまじで可愛い!!
が、ひねくれてる私はそんな事は言わないのだ。

それからまたしばらくして。
夜の仕事を辞めたミヨさん。
大学もちゃんと行って。
そしたらいつの間にか彼氏が出来たらしい。
その頃からイケメン弁護士のおじさんは仕事が忙しくなって来れなくなった。
ミヨさんは実は美大生で。
舞台セットとかも作るからたまに棚とか作ってくれた。
長く一緒にいると私の霊感の事もバレバレで。
彼氏のタクヤくんと良く世話をしてくれる様になった。
ラブラブ…じゃなくて既に夫婦感丸出しです。
そんなタクヤくんはカフェの店員さん。
調理師免許をもうすぐ取れる、もうすぐ2
0歳の兄ちゃんです。
しかもドラマーだったとか。
たまに教えてもらう。
その内、ばあちゃんの体調が悪くて。
ミヨさんとタクヤくんが交代で看病する様になった。
病院に行ったらもう永くはなく、入院する事になった。
イケメン弁護士のおじさんはばあちゃんの公的後見人という立場でもあって。
それでばあちゃん所に来るようになったのだとか。
六年生の秋。
ばあちゃんは笑いながら、私とミヨさんとタクヤくんが見守る中、ゆっくり息を引き取った。
ばあちゃんの仏壇はうちにある。
その頃からミヨさん達が同棲した。
元々してる様なもんだったと思うけど。
そしてばあちゃんの遺言は、ばあちゃんと同じく身寄りの無い私を頼む、みたいな事だったらしい。
小学生らしく何も聞かされていない。
私と言えば、中学の試験を控えていた。
そのまま公立でもいいんだけど。
来年、つまり、私の代から、公立と私立の中学を受けなきゃいけないから。
法律で決まっちゃったそう。
高校か。
高校の制度に慣れるため、だそう。
これ、生活に余裕ない家庭は苦しいね。
で。
秋も終わって冬。
受験。
二度と受けたくなかったぜ。

「霧澤さんもここ?」
「蒼井くんも?」
「うん。私立に近い公立だし。」

私は家から近いから選んだんだけどね。
この頃には。
タクヤくんは昼はカフェ、夜はレストランなお店でめっちゃ働いてて。
晩ご飯はミヨさんと食べる事が多くなった。
中学からはお弁当だからたまにタクヤくんに指導受ける。
料理スキルも上がったぜ!!
なんて思ってた新年。

まさかのQUARTET NIGHTがデビューした!!
なるほど。
ここはうたプリの世界なんですね。
久しぶりにびっくりした。
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