異世界渡航
□トリップ
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「んと…Eの六区画…」
聖都リグネア。
ここが私が通う学校がある都市。
リグネアの国土約半数以上は学校の敷地だ。
そして私の寮があるのはEの六区画。
同じクラスの人と同じ建物で暮らすらしいよ。
寮って言っても大きい一軒家みたいな所が多くて住宅街みたいだけど。
ま、まぁその一軒家の敷地も豪邸並だけどさ。
…ここ十年豪邸やら屋敷やら城を見てないから感覚がおかしくなってるわ。
広いんだけどそこまでねぇ、って思っちゃうのは感覚がズレてんだわきっと。
「入学式が先だから…えっと…二階の…ここか。荷物だけ置いといてと。次は学校だな。」
学校か。
島の学校は有って無いようなもんだったけどね。
皆いつもお家の手伝いで忙しいんだ。
お世話になってるし私もおやっさんと女将さんの手伝いしてた。
…ほぼ漁に出てギルドの人と女将さんのカミナリ良く喰らってたけどね…
そして外の学校に行った人が必ず言ってた事。
島出身は王都や聖都出身の子供に弄られる、という事らしい。
ま、それも返り討ちだけど!
「…み、水華…様?」
「?」
「やっぱり水華様!!…お元気そうで…」
えぇと
?
「…あぁっ申し訳ございませんでした。わたくし、衆楼院のライゲスの娘です。覚えておいでですか?」
「ライゲス…ブーメラン眉毛!!」
「ふふっそれは父に直接言ってあげて下さいませ。」
「じゃあマーヤ?」
「はい!あの日以来皆あなたに会えずどこもかしこも火が消えたようですよ。いつお戻りに?」
「…分かんない。お父様もお母様もまだって。」
「そうですか…」
「それとね。今の私は一般人なの!だから…ね?」
「ふふっ承知致しましたわ、水華さん。」
そうそう。
まずは例の洗礼とやらを見たいしね!
「水華さんのクラスはどの?」
「私A組。」
「まぁっじゃあわたくしと同じですわね。」
「…マーヤって確か十八歳だよね?私の四つ上。」
「ええ。ですが今年から高等科と呼ばれるクラスはどの年齢で入ろうとも三年間は在学です。」
「あ、良かった。」
「?」
「それだけあるなら十年間の事、聞けそうだ。」
「…」
「マーヤにも聞いて貰いたいんだ。私の十年間。お父様やお母様とは話すら出来ないし。」
「連絡は…」
「…そこから足が付くといけないからって。…だけどあの子達まで連れてこなく
ても…」
「それだけご心配なのですわ。それよりも養母となられた方は相当お強いと聞きましたが。」
「うん。海割るくらい。でも近海の主に負けちゃってね…二年前に。」
「まぁ。」
「…そう言えば島の人皆婆ちゃんと私が何者なのか知らないんじゃ…」
「えぇ!?」
「うん、知らないね。だって知り合いのおじさん達が口揃えて「おっちゃん達がちっこい頃に島に来たんだよ。船を使わずな!!」って話してたけど何者かは言ってなかったみたいだし。私の事も婆ちゃんの親戚みたいな感じで受け入れられてたし。…いや間違っちゃないけど…」
「まぁ身分を隠すなら良い方法…なのでは…」
「そうかな?そういうものかな?」
「ええ。」
とにかく、婆ちゃんは強かった。
最期は歳取ったって言ってたけど。