内緒の時間

□転生令嬢
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「…うーーーむ…資質がおかしい。」
「と、言われましても…」

資質検査の結果。
何故か今ギルドマスターとの面会となっているわたくし。
なんでも重複資質が多くて検査担当では測り兼ねる…とギルドマスターに委ねられたのだ。

「…あー、まぁヨシュア殿下が送って寄こした人間だとは納得する。」
「失礼な。」
「まぁそう言いなさんなって。予めヨシュア殿下がお忍び中のついでにお前さんの事を頼まれていってな。」

殿下が?

「ああ。面白い資質持ちを見つけた。城で五年ほど鍛えた後、学院入学を経てここに来させる。ってな。」
「…手のひらの上か…」
「だからそう言いなさんなって。実は今は一人一つの職業資質だけどな、一般的にはそうなんだが結構お嬢みたいな重複資質は結構いるんだよ。そういう時はメインとサブで登録したりする。お嬢は魔術資質が高めだから、魔術師をメインに、サブに剣士、料理人、薬師、魔道具師、裁縫師を入れとく。経験値はメインの方が入りやすいが、サブでも多少は入る。戦闘職をメインに生産職をサブって考え方だ。」

なるほど、それは分かりやすい。

「んで。魔術師をメインだと杖だが、サブで腕輪ともう一つ、魔術発動の要の武器を持てる。」
「腕輪?」
「というかアクセサリーだな。魔術師は様々なアクセサリーに扮した魔道武器を持つんだ。杖を飛ばされた時の補助にもなる。」
「ほう。」
「なまじお嬢は貴族だからアクセサリーに関してはたくさん着けられる。」
「平民は着けられないの?」
「そもそもそこまで実入りがねぇからな。特殊なパリュールなんぞ貴族しか使えねぇ。ピアスも貴族だけの特権だ。」

確かに。
ピアスは男も女も空けるけど、貴族だからこそ、赤ん坊の時に空けられる。
平民からの養子だとそれは無い。
そこは貴族の複雑な仕来りやらのせいだけど。

「で、だ。それを見越していたのがお嬢を見ていたっていう後見人様だ。」
「は?」
「聞けばお嬢、ヨシュア殿下の無茶ぶりで城中走り回ってたんだろ?」
「…ふっ…」
「分かるけどな。それで、その五年間でお前さんの資質を見抜いておられたのが、魔術師団の団長様だ。」
「グリッツ様が…?」
「ああ。殿下の無茶ぶりで冒険者までさせられるって聞いたらしくてな。もし登録に来たら、とお前さんにプレゼントを置いていきなすった。」

グリッツ様が…
ただのメイドにしては新人魔術師よりもキツいと皆様から伺ってはいましたが…恐らく資質を見抜いての鍛錬だったのでしょう。
元々冒険者になる意向は殿下に伝えてありましたし、これ幸いと各地の情報集め(無理ない範囲で、ですが)を頼まれた次第ですから、師団長様に知られていてもおかしくありませんね。

「お嬢のマジックウォレットも調整が済んだ。これな。それと魔術師としての装備は腕輪に、珍しい魔道武器が揃ってるぞ。」
「まぁ可愛い。これは…」
「五連刀っていう魔力を込めれば短剣が魔力に応じて形成されるモンだ。それと扇。剣士の訓練もさせられたって聞いて剣術スキルが1でもあれば使える斬と打も出来る物だ。」
「まぁ綺麗。」
「その他防御系スキルの強化が出来るアクセサリーだな。それとこっちは師団長からお嬢の資質を聞いた殿下からのプレゼントだと。」
「まぁ、綺麗な服ですね。」
「魔力伝導並びに防御もクソ高い特別製の魔術師服だと。…初級だと黒のロングドレスにローブになるが…」
「まぁこちらでお願いしますわ。」
「それとこれも城からだな。本当に色々な所に回されたんだなぁ…」
「薬剤作成道具キットに裁縫セット…お料理道具セットまで!あら?こちらは?」
「城の魔道具師からだ。当分はそのマジックバッグで十分だろうってさ。城の人間から愛されてんな。」
「まぁ…顔だけは広くなりましたか。」
「良いじゃねぇか。ランクは異例ではあるが、魔術の威力からBランク相当と見て構わねぇだろう。これが冒険者証だ。」

ドッグタグね。

「こいつには特殊な魔術が掛かってるから、関所での通行はあの面倒な検査はねぇ。こいつで見れるからな。それとBランクからはカウンター一式は全てこいつが担っている。失くすな。」
「分かりました。」
「まぁ、既に城からある程度の採取と討伐の記録を寄越してくれていたからな。一応Cランクからは旅も出来る。Cランクの冒険者証では通行の際の採取討伐と犯罪記録を記憶出来る魔術、Bランクからはそれに更に様々な個人的情報も記録される事になる。だが、元々戦える力はあっても冒険者稼業初心者だ。手頃な物で慣らすことをオススメする。」

それはその通りですね。
早速着替えてやってみましょうか。
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