アイドル2

□ツキプロファンタジートリップ
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「…森が、怒ってる?」
「なんか、こわいの…」
「リル、お姉ちゃんにしがみついてな。」
「うん…」

ザワザワする森は初めて。
怒ってる。
木々に怒るのは、エントやトレントが怒ってる。

慣れてきた移動の魔法で木々を縫って村に戻る。
戻る手前で驚く。

火の手が上がってる。

何が!?

「っ!」

兵士?
そして思わずリルの顔を塞いだ。

朝、挨拶したおばあちゃんが殺される瞬間だった。

「っ…」

逃げなきゃ。
でもどこに?

「っ…ミズカ…」
「長老っ皆は!?」
「…このまま、あちらの方角に逃げろ。このままだとここは…」
「おかあさんは…?」
「…若い者達は生きている。無事とは言い難いがな…」

まさか、奴隷として?

「…ミズカ。私の最後の弟子よ。生きろ。行け!…リルを頼む。」
「長老っ待って!私もっ」

だけど私達は枝や蔦に絡め取られて森の深くに連れていかれた。

「ひぐっ…おかあさん…」
「…」

しっかりしなきゃ。
リルを護らなきゃ。

『ミズカ。』
「トレント…」
『フォーレツォから伝言だ。我等ト
レントとエントを使え。』

使えって…何…

『お前に渡す筈だった一人前の証の杖とマントと箒は我等を使って作る。』

今?

『ああ。人間達がここまで来るのを遅らせる。急げ。』

作ってどうするの…今は戦わなきゃいけないんじゃ…

『若いエルフ達は恐らく人間の王城だ。あれはこの大陸を治めるエインガイスの兵士。欲に駆られた王め…』
『この先に世界樹の種がある。それをここに住む者が発芽を見守ってきたが…』
『まさか王…世界樹の種を…』
『それだけはさせぬ…』

世界樹の種?

『この大陸のな。大陸が育つのに必要なのだ。欲に塗れ育てられれば…世界樹は悪をばら撒く毒木に成り果てる。』
『それだけは決してしてはならぬ…世界が悪に塗れてしまう…』
「…」

どこの世界も、壊すのは人の欲か…

「…」
「おねえちゃん?」
「…強く、なる…」
『ミズカ?』
「強くなって、奴隷になった皆を助ける。そして…」
『ああ…』

復讐でもなんでも。
生き抜いてやる。
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