アイドル

□里津花さんと夫婦
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「ほぎゃっほぎゃあ!」
「良かった…泣いたっ」
「点滴5時間…かなり悪かったみたいね…」
「脳に障害残らなきゃいいけど…」
「ママー!!」

だから…まぁいいけど。

「はぁ…」
「また気に入られたな?」
「だからってパパって…」
「で、どうするの水華。」
「叔母さん。」

どうするのって…
こういうの警察が保護施設探すもんじゃ。

「お馬鹿。ここは日本よ。アメリカじゃないの。」
「…ホント制度遅れてるわね…施設探しながら預かるけど…」
「パパーっ」
「はいはい…」
「慣れてきたのか?」
「何となく?」

いや慣れてきたって…

「パパとママといっちょ。」
「「…」」

流石に無理があるから。

「…いーんじゃね?」
「いや、まぁ…だが社長に言わなきゃいけない。」

へ?

「子供を預かる事は出来るので。」
「あら。誰か子供の面倒見れるの?」
「えっと…」
「子供を預かるというのは予想以上に気力、体力、そして金を使うわ。アイドルでしょう?産婦人科医の水華はともかく、あなた達に子育てをする余裕がある?それも二人も。」
「あ…と…」

「軽々と…ペットとは違うのよ。」
「それは…分かっています。でも…」
「子供はね。特に捨て子は、愛してくれそうな人を本能で見分けるのよ。あなた達…特にあなたは目を引くし、裕福そうよね。」
「そうですね。」
「だから、パパって呼ぶ。水華もね。」
「まぁ…」
「でも一時の情に流されて、結局面倒を見切れなくなるのも事実。そうやって里親の元から施設に戻される子供も後を絶たない。施設を探すだけならまぁ大丈夫、とは思いがちだけど。」
「…」

仕方ないわよね。
そもそも二十代で子供なんて無理だもの。

「…梨花ちゃん。ちょっと来て。」
「あいっママー!!」
「…」
「水華は似合ってるわよ。」
「叔母さん…」
「で?どうしたの?」
「うん。梨花ちゃん。ちょっとチクってするけど我慢してね?」
「っ!!!いちゃいのー!!やー!!」
「採血?」
「うん。あの子が餓死寸前ならこの子もかもって。」
「そうね。虐待の跡も見とかないとだわね。」
「やーっ!!」
「…大丈夫だよ梨花ちゃん。ほら。」
「うー!!」

ああ、世良里津花が近いわ!!

「…終わったよ。」
「「「え?」
」」
「…いちゃくにゃー。」
「ふふっ」
「早い…」
「それだけの腕なのに仕事辞めるなんて…お父様は大噴火中よ?」
「知らない。おじいちゃん嫌いだし。」
「あんたはお父様のお気に入りだものねぇ。」
「…」
「ったく…印税でニート生活なんてどうなの?」
「「「「え…」」」」

ちょっと!

「それが出来るもんで。」
「腹が立つわー。自慢の姪だけど腹立つわー。」
「すいませんね、異例の医学教授で。よし、それじゃ梨花ちゃん。ママお仕事あるからちょっと待ってて?」
「おちごと?」
「うん。すいません、この血液検査スグ出来ます?」
「あ、はい。2時間程掛かりますけど…」
「大丈夫。その間に…必要なもの買ってきます。」

警察が頼りにならないのなら自分でしないとね。
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