アイドル

□ツキウタ。
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「水華!!あんたまたなの!?」
「え?」
「煌羅から聞いたわよ!?また事務所の意向に逆らったんですって!?煌羅が帳消しにしてくれてあんたは持ってるっていうのに!」

この母親は…
煌羅は妹。
既にアイドルグループで活動している社長のお気に入りの一人。
両親の芸能界への執着は凄まじいもので、子役からずっと母親がマネージャーだ。

「…水華。ほら母さん。後は俺が引き継ぐから。」
「もう!!」

父さんは元々俳優だった。
だから、執着するんだと思う。

「…水華、今回のプログラミング見せてみろ。」
「うん。」
「…これを完璧に踊ったんだな?」
「勿論。」
「…やはりか…これはどう見てもセンターポジションのプログラミング…遂に事務所ぐるみか…」

でもお父さんはまだマシなのよね。
私がモデルとして繋げているのも父さんのお陰。
そして…母さんは妹が大好きで、四六時中べったり。
私のマネージャーはほとんどお父さんがしてくれてる。

「そろそろ考え時かもな…」
「やっぱり辞めなきゃダメ?」
「…とにかくだ。水華、1度このレッスン受けてみろ。」
「これは?」
「高杉
さんというかなり凄腕ダンサーのレッスンだよ。」

ふむ。
やる事も無いしいいか。


そしてレッスン日。
びっくりしたのはそこにSolidSの奥井翼さんがいた。

「…凄いな!翼君の動きについて行ける子初めて見たよ!」
「うんうん!なになに?君もアイドル?」
「は…い…まぁ…」
「?」
「うんうん、流石霧澤さんの娘さんだね!しかし…腑に落ちないね?」
「何が?」
「君、あの煌羅ちゃんよりもかなり上のレベルなのに、まだデビュー出来てないの?」
「っ…」
「なにそれ。」
「…煌羅は社長のお気に入りだから…」
「ああ、流石猿間事務所。相変わらずだなぁ。」
「さるま?どこそれ。」
「二流と言えば二流だね。業界では原石潰しの猿間って言われてるよ。」
「はぁ!?」
「たまに当たる子もいるけどね。デビュー枠は社長のお気に入り。ほら、最近有名でしょ?ZKD39。」
「…ああ、あのものっそい歌下手グループ。」

バッサリ。

「ああいうの俺嫌いなんだよなー。」
「そこのセンターが水華ちゃんの妹なの。超お気に入りが見えてるね。」
「…ああ、あのぶりっ子?まじ?全然似てね
ぇ。」
「私は父親似なので…」
「勿体ないよねぇ霧澤さんも。あの人売れないアイドルと結婚してからテレビから消えちゃって。」

…は!?

「え…母さんアイドルだったの?」
「うん。」

見えない…

「勿体ないわぁ。君も逸材なのに。アレでしょ?」
「?」
「君、高音域でガラスコップ割る。」
「あはは…高音域の練習で、ですよ…」
「マジ!?俺そっちが見たいかも!!」

で、翼さんのご要望でやることに。
ごめんよコップ。
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