アイドル

□里津花
2ページ/14ページ

ふと気付けばベッド。

…ベッド!?

起きればぐらつく頭。

「っ…」
「あ、起きた?」
「…」
「…うん、ちょっと下がった。でもまだちょっと高いから。」

えと、夢?
そうだ、夢なんだ。
だって目の前にいるの、solidsの世良里津花。

「…あの…」
「ん?」
「私、なんで…」
「あんなびしょ濡れで高熱な女の子を見過ごせないでしょ?スマホ、通話出来ないし。」
「…解約されたので…」
「解約?」
「…普通の、一般家庭だったんで、夜逃げとか、そういうの…」
「!?…」
「…ははっ彼氏にも浮気されて、家もないなんて…どうしろ、って…いうんですかね…」
「そう…とにかく今は熱を下げないと。ちょっと待ってて。今お粥出来るから。」

優しいですね。

「名前は?」
「水華…霧澤水華です…」
「歳は…高校生位?」
「はい。二年生…」
「夜逃げって事は…学校は…」
「いえ、うちの学校、3年間の授業料一括なんです。入学の時に。行けないですけど。」
「行けない?」
「流石に無一文で私服とジャージ揃えるのは至難かと。まずは仕事を探さなきゃいけなくなりました
から…住む所…あるのかな…」
「どちらにしても、まずは体調治さなきゃね。はい。」
「…ありがとうございます…」

お粥、美味しい…ご飯食べれるって凄い事なんだな。
って改めて思った。

「学校は私服なんだ?」
「はい。専門学校なんです。」
「専門学校?」
「調理師の。調理関係の資格も取れるし…制服も新しく揃えなきゃ…」

夜逃げするぐらいなら、多分借金がある筈。
だとしたら家に取りに帰ると借金取りに捕まる可能性がある。
捕まってヤクザの回し者にされたくない。

「…とにかくしっかり食べな。」
「はい…すみません…」
「いいよ、大丈夫。」

世良里津花、もっと遊び人みたいな人かと思ってたけどかなり真面目というか、常識人。

「…あ、オレの自己紹介して無かったね。世良里津花だよ。」
「あ、はい…」
「solidsを知ってくれてるんだ?」
「…皆はグラビとかプロセラだけど…私的にsolidsの方が…好きです…」
「ふふっありがとう。」

な、なんか恥ずかしい…です。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ