□仮
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「…いや、ほんと俺も困ってます。無茶ぶりも良い所かと。」
「まぁ心中お察ししますが。副担任、頑張ってくださいね。鳥海先生。」
「すいません…頑張ります…」

俺、鳥海浩輔。
現在30歳前の多感な時期にいきなり教員免許を取らされてしかも先生までさせられてる哀れな声優です。
なんだよ意外性と話題性の為に先生て。
現役声優先生をーとか社長に言われちゃったけどさー…

「お仕事の方は…」
「声優は教師の仕事に慣れるまで休業…です…」
「そうですか。そちらの方は担任の霧澤先生と相談なさってください。」
「そう言えば…俺まだその霧澤先生とお会いしてないんですが…どんな方でしょう?」
「霧澤先生ですか?そうですねぇ。不思議な子ですね。」

校長の言葉に、結構年配の先生方は笑う。

「?」
「いえね、霧澤先生、実は鳥海先生が受け持つF組の…この学校の卒業生なんですよ。理事長の方針で昔からここのF組はいわゆる成績不良、素行不良の子が集められるんですけども、初等科入学からF組だったんですよ。それも高校まで。」
「えぇ!?」
「成績はいつも学年トップだったんですけどね。まぁ良く外の不良と良く
揉め事や喧嘩をしてね。」

こ、強面の厳ついおっさんだったらヤだな!
てか頭良いのに…

「普段は大人しくて面倒見のよい子だったんですけどね。F組は何かと絡まれやすいのでそれでね。」

はぁー。
つまり熱血漢、てやつかな?

「黙っていればどこかのお嬢様に見えなくも無いのに、勿体無いですよね、水華ちゃん。」
「そぉですねぇ。」

女性なのぉ!?

「しかし良いんですか?霧澤さん、あれでしょ?弟がF組なんでしょう?」
「霧澤君ですね。流石に成績はお姉さんの様にはいきませんが…まぁ姉弟ですねぇ。熱血漢は見事に彼にも…」
「歳が離れているんですね。」
「ええ。…家庭環境が複雑ですからね。」

校長先生…

「全く本当に在学中は手を焼かされましたよ。受け持った生徒で初めてでしたね。」

担任だったのか!!


けれど。
これが実は俺の運命を変えた訳だけども。
それを知るのはもっともっと未来の事。

「霧澤さんも二十歳ですかぁ。いやぁ歳を取りますなぁ。」
「二十歳!?」

今この時はそんな年齢差で上手くやって行けるか不安が大きかったんだ。
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