時の園

□仮
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暫く進むと何やら神殿のような建造物が見えてきた。
中に入り、「何か」が来ていない事を確認する。
そんな時。
誰もいない筈の内部に声が響き渡る。

「何者じゃ。」
「!?」

驚き振り向いた先には白髪白髭の老人が立っていた。

「うむ?御主…」
「…っ」

一歩踏み出した老人と一歩後退する彼。
それを見て老人は優しく微笑んだ。

「なに、心配せんでも良い。ここなら魔族も来れんよ。」
「魔…族?」
「黒い何かが追って来んかったか?」
「…さっき…」
「それが魔族じゃ。ただし…悪い、が付くがの。」
「?」
「御主の様に力に目覚めた者を連れ去り魔族として教育しようとしているのじゃ。特に御主の様な特殊な力を持つ人間を狙う。」
「力?特殊?な、なに言って…俺は…」
「追われる前は大人だった、じゃろ?」
「!?」
「力に目覚めた者は稀じゃが、御主の様に若返るのは特に珍しいのじゃよ。現代においては御主が二人目じゃ。」
「二人、目…?あなたは一体…」
「儂か?儂はただ時間を司っているだけの神様じゃよ。」
「…………………!?」
「昔人は儂を時の神クロノスと呼んだのぉ…ま、今はただのじいさんじゃ。さて、付いておいで。もっとも安
全な場所に行くぞ。ここは結界の境目。何かの拍子に奴等が入り込まんとも限らん。」
「…」

少年となった彼は悩む。
本当に付いて行っても良いものかと。

「安心せぃ。儂は御主を危険に晒す事はせんよ。これでも神じゃからの。奴等の仲間に成りたいのなら話は別じゃが?」

そう言われ襲われた時を思い出す。
恐怖しか湧かなかった。
しかし、目の前の老人からは安心感を得た。
それに気付き彼は老人の後を追った。
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