異世界渡航

□蒼井君と、うたプリの世界で…ファンタジー?
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草木も眠る丑三つ時。

「眠れない…」

そう呟く青年と女性。
遠く離れた地で、この日、二人は同じ光を見た。

そして。


「「え、ええええ!?」」

いきなり空中に投げ出された。
空中ならばまだいい。
景色は大地や海を見下ろすなんてものではない。

「「宇宙!?」」

そう、成層圏を抜けた宇宙。
二人はそんな所にいた。

そして、眩い光が二人を包む。
それが収まった頃には。

「「…」」

先程から叫び声が重なっていた為存在は認識していた。
だが、先程までのお互いの姿を思い出し、そして現在。
お互いの容姿が全く変わった事に、混乱する頭では理解がおいつかない。

その中でも緊急事態は起こるもの。

二人は引き寄せられる様に落ちた。

まずは少女となってしまった彼女から。
それに気付いた少年となった彼は手を伸ばす。
だがそれは触れる事なく、二人は地球へと落下する。

「っ…」

少女となった彼女は劇的な変容だった。
日本人特有の髪から、淡い金から毛先は紅へとグラデーションを、そしてなんといってもその長さ。
ゆうに足首まではあろ
うというもの。
服装は神話に出てきそうな白いドレス。
対する少年となった彼もまた、淡い金から毛先は薄い紫。
アシメントリーの髪型は変わらない。
そして服装は白いシャツに白いズボン。
二人共、透き通る様な真っ白い肌。
だが、決定的に違うのは瞳だ。
少年は金にアメジスト、少女は紅と蒼の虹彩異色だった。
成層圏を落ち、さらに地表へと落下する。
何とか少女の手を取った少年だが、どうする事も出来ず、ただ抱き締めた。

「(なんとかしなきゃっなんとか!)」
「(なんとかしないとっ…)」

そして二人の心は一つの思いへ。

「「(飛べたら落ちないのにっ)」」

風が、吹いた。

二人が強く瞑った目を風で開けた時。
二人の背には純白と漆黒の翼が生えていた。
ただ。
少女の方にだけはまるで虫の様なしわくちゃの羽根が付いていた。
なんとか、必死に翼を動かし、無我夢中で湖の畔に舞い降りる。
そして、二人は地面に降り立つと崩れ落ち、そしてそのまま眠ってしまうのだった。
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