異世界渡航

□仮
1ページ/8ページ

昔から、1人だった。
意味もなく傷つけられ、1人だった。

子供の頃、一人だけ、私に優しくしてくれた人はいた。
だけどその人もいない。

無意味に時を過ごす私。

『ねぇ…あの子ってさ、なんかキモくない?』

そこからいつも始まる。
私としては普通にしているつもりなのだが。

『ねぇ、ちゃんと学校行ってる?高いお金払ってるんだから…』

払ってるのは親ではなく国から支給されたお金だ。
私は母が嫌いだった。
大人になるにつれ嫌悪も増していった。
仕事の上では愛想のいい奴ら。
裏では人をコケにしてくれた。
いい事はない。
悪い事は考えない。
そうして無難に生きてきた。

それがある日を境に一変した。

ある日。
私は異世界という所に連れてこられた。
私だけじゃなく、他にも。
アニメだとかそんなのは好き。

ファンタジーも好き。

だが自分が体験するなど誰が思うだろうか。
まぁアニメファンならヨダレものだろうが。
そんなこんなで私達は元の世界に戻るために、いきなり飛ばされた洞窟を進む事にした。

かなり傍から見たら素晴らしい光景である。

んせ男の割合の方が高いから。
ふっ…うたプリ羨ましいぜ。

「ほら、春歌ちゃん。しっかり休みな。」
「で、でも…」
「休みな。」
「はい…すみません水華さん…」
「そんな事気にしない。」

現在女は三人。
私、うたプリ主人公七海春歌。
そして…

「きゃっ」
「ただの虫。大丈夫だよ!」
「あ、ありがとぉ音也くん!」

男に媚び売る魔性の女梨花。
なんとも分かりやすい。
あの女はここに来た途端男共を誑かす方に向いた。
私達はモブでいろと言い放ったのだ。

「…」
「心配?」
「え…まぁ…」
「大丈夫じゃないかな。」

ああいうのはすぐバレるもんだ。
私は必然的というか春歌を護る位置にいる。
ま、今まで一人だったから私は問題ないし。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ