異世界渡航

□なのは×ザナドゥか
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『大丈夫だよ。だから、ね?』



あの日差し出された手はとても温かく優しかった。









「…そうですか。やはり…」

ため息を吐きながら美月は瞼を閉じた。

「ミツキさん、何かご存知なんですか?」
「ええ。その事案は随分前に私が関わったものです。…やはり動き始めましたか。」
「ソウルデバイスの攻撃が効かないグリード…前にも居たの?」
「ええ。」

XRCの部室に備えられたモニターを見上げる美月。

「キョウカさん、お願いします。」
「はい、お嬢様。」

映し出されたのは数枚の写真。
それを見た志緒は驚いた。

「…高町…?」
「ええ。この事案には水華も関わっています。…いえ、私も含め、当事者と言うべきですね。」
「えっと…」
「彼女は高町水華さん。私とは5歳頃からの付き合いになりますね。」
「そうですね。その後小学校も同じでしたし。」
「ふふっ小さい水華、可愛いでしょう?」
「…なんでオレに振る。」
「それは…高幡君が一番分かってらっしゃるかと。」
「…」
「まぁ冗談はここまでとして。…私が適格者として覚醒したのもこ
の事案のお陰でして。」
「こんな昔から。」
「ええ。事の始まりは十二年前。あ、なんでしたら水華も呼びます?」
「いえ、水華さんは現在あちらに。」
「あら…いないのね。残念。」

だが残念そうには見えないと洸を始め皆が思った。

「…十二年前って言ったら北都導力の施行目処が立った辺り?」
「ええ。実は北都導力はこの世界の物ではない技術が使われ、そして確立されています。」
「この世界の物ではない技術?」
「ええ。まだ発案だったばかりの導力システムはこの事案であちらとの協力を頂けた事で現実となりました。」
「そのあちらって…さっきのこの世界の物ではない技術の?」

洸の視線に美月は視線を戻した。

「…魔法が確立され、そして普及されている世界。次元を隔てた別の星、ミッドチルダという世界の技術です。実はサイフォンもその技術で作られています。」
「なっ!?」
「事の始まりは…異界に関わる一族の私と、ミッドチルダ出身の水華が出会った事。それが本当の始まり。」

そしてまたモニターを見る美月。
そこには小学校よりも前、数少ない両親と撮った写真がある。

「この頃私の両親がある喫
茶店に通っていたんです。」
「喫茶店…ですか?」
「はい。場所は海鳴市。そこにとても繁盛している喫茶店に美月さんのご両親がたまたま入り気に入られたのがきっかけだったそうです。とても美味しく、またお店の方も気のいい方だったと。」
「そしてこの日、私も連れていってくれたんです。同い年の子供がいるから、って。」
「それが高町か?」
「はい。水華さんは御家庭の事情で高町家に預けられていたんです。歳が近いと言えど流石に5歳上のお姉さんだけでは、と言う事で。」
「へぇ。」
「可愛いかったのよ。お姉さんの後ろからちょこっと顔を出してる水華。」
「…」
「(あ、あれ?シオ先輩黙っちゃった?)」
「(あんな高幡先輩は珍しいけど…)」

黙した志緒に笑う美月。
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