異世界渡航

□仮
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世界に不思議な事はたくさんある。
だが自分がその不思議に会うとは思いもしなかった。

ふと気付けば見知らぬ洞窟の中で見知らぬ人達が居た。
それと知っている人達も。

見知らぬ人達はどうやら私と同じ様に不思議にあった人達。

知っている人達…はゲームのキャラクター。
だけどそのキャラ達もこの洞窟にはいきなり来てしまったとの事。
勿論私達は戦う事なんて出来ないのでキャラ達に護って貰っている。

知らない人達の中でも唯一知っていたのが大好きな声優さんの鳥海さん。
鳥海浩輔さん。
やっぱり実物は恰好いいですね!
鳥海さんはゲームのキャラクターに乾いた笑いをこぼしていましたが。
だってねぇ…自分が演じたキャラクターが目の前にいたらねぇ?

そんな感じでずっと出口を探して歩いています。

ここに来た戦えない人間の中で女は私ともう一人だけ。
女の私から見ても可愛いと思ったがそれは見た目だけだった。
中身はとんでもない人だった。
彼女は世間で言うところのぶりっ子だ。
しかもとんでもなく腹黒い。
笑顔でさらっと二人っきりの時に死ねとまで言われた。
私はまぁ人見知りであまり話さ
ないし、可愛いとは無縁であるとも思っている。


が。

お前にそこまで言われる筋合いねーよ、お前が死ね。
とまぁそんな事を思ってしまった次第ですが、他の人(主にキャラ以外のね)は彼女にメロメロです。
鳥海さんは違いましたが。

「いやー、流石にね、長く生きてるとさなんとなーく分かっちゃうんだよー。」
「あれですか、おいたが過ぎましたか。」
「うん。てか今この状況で笑って話せるの君だけだよ…フォローしてくれるし…」
「助け合いは人の素晴らしい基本かと。したくないやつもいますがね。」
「笑顔で言うなぁ(笑)」

まぁずっと一緒に居れば自然と話が出来るもんで。
勿論キャラ達にも絡んでますよ。
特にユーリ・ローウェルさんには!!
すいませんテイルズすきなんです鳥海さんすきなんです。

とまぁ内心ウッハウハの状態でしたが、そうも言ってられなくなってきたのです。
あの馬鹿女に見事ハメられた馬鹿達が、陰で私を攻撃する様になってきたからです。
お前ら学生か。
勿論鳥海さんとキャラ達には通じなかったようですが。
ともかく日に日に見えない所に傷が増えて行きます。
まぁ元々学生の
頃に経験済なので急所は外せますが痛いです。
そんな中、いかにもな崖になっている場所に来ました。
この状況下ではなにも出来ないだろうと油断していた自分も悪いです。

あの馬鹿女、よりによってこんな場所で突き落としやがりましたよ。
勿論重力に従い落ちる。
咄嗟、というかまぁ結構落ち着いていられたのであの馬鹿女の手を引っ張ってやりましたが。
なんとか岩のでこぼこに手を掛けれたは良いけど私はあの馬鹿女の下。
馬鹿女は自分のファン化してる馬鹿共に引き上げられて無事だったが私はほんの少し届かないようだ。

死にたくはないからなんとか上に上がろうとするけど、さっき馬鹿女は知ってわざと足をばたつかせて私の顔を何度も蹴った。
お陰で両目がやられて殆ど見えない。
鳥海さんの声が聞こえる。
けど、あいつは私の手もご丁寧に踏んずけていったから限界だった。
ふと痛む手に何かが当たる。
見えない目でもそれが鳥海さんの手だと知って、それで少し救われた気がした。

「鳥海さん…?」
「霧澤さん!!も、う…少…しっ」

足場が不安定だし狭いから無理な事分かってる。
けど、鳥海さんだけは諦めないでくれた

それだけで…まぁ良かったかな。

「鳥海さん…ありがとう…」
「!?きっ」

さっきから聞こえるパラパラという音は幻聴ではない。
証拠にバキッと音を立てて私は崖の底へと落ちていった。
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