□転生令嬢
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「(おかしい…)」

初めまして!
わたくしアールスローム王国の伯爵令嬢レティシア・クロノワールです。
この度、めでたく15歳となり、王立セントラル・アカデミーに入学致しました。
が。
何故か周りは男性ばかり!
しかも15歳なのに背が高くてがっしりした人が多い!
右向いても左向いても前も後ろも男の人で壁!

女子の席順は先生がお決めになられましたが…そもそもクラスに女子が自分含め五人しかいない!!
その他十五人は全て男の人!!

割合がおかしくない!?

こうして平凡(ちょっぴり違う)わたくしの学院生活が幕を開けた。
まぁワイワイ騒ぐような人達じゃないですから授業中は静かですけどね。
毎日怖すぎて終わる頃にはヘロヘロです。
毎日お弁当持って庭のガゼボに避難するのが日課です。

そんなある日。
たまたま見つけた温室。
そこでのんびりしていたら寝てしまっていた。
目を覚ましたら…

「「…」」

温室の中にある木の上のイケメンと目が合った。
いや、まだ夢見てるんだな。
うん。

この日は何も無く終わり。
次の日は雨が降ってたので再び温室。
そこでのんびりしてたら。

「…やぁ。」
「…」

再び現れた金髪イケメン。
毛先だけのウェーブに真っ青な瞳。
何より「公爵家」だけが付けれる真っ赤なネクタイピン。
家格によって付けるネクタイピンとブローチは宝石が決まっている。
ガーネットを付けれるのは公爵家だ。
その横にあしらわれてる碧の石は…

「ご、ごきげんよう…公子様…」
「ごきげんよう。今日もここでお昼かい?」
「は、はい…」
「ふぅん?…サンドウィッチ?」
「は、はい…」

何故に絡んできなさる!?

「君は確か…クロノワール伯爵令嬢だったかな?」
「え?あ、はい。」

なんでわたくしの事知ってんだ?
殆ど社交界に出てないのに。

「まぁ主要な所は覚えているよ。…」
「あ、あの?」
「それ、食堂の?」
「え?いえ…自分で作ったものです…」

実は。
この世界食の発展が薄いみたいであんまり美味しくない。
と、言うわけで10歳から冒険者登録なんかしちゃって食材を集めに集め。
自作しているのだ。
最初は怒ってた家族も美味しいものが出てきちゃったものだから今では何にも言われません。

「へえ。一つ頂いても良いかな?食堂には行かなくてね。」
「へ?あ、はい。どうぞ…」
「ありがとう。」

ナチュラルに隣に座ってますね…

「……っ!?」
「?」
「美味しい…」
「それはありがとうございます!」
「これは何?何が入っているの?」
「ええと…わたくしが独自に作りましたハムとマヨネーズとバターと…」
「??ハム?マヨネーズ?バター?」
「ええと…ハムはポークンのお肉で、ゆっくりじっくり塩に漬け込んだあとじっくり低温調理をしてですねぇ…」
「ポークン?これが?あの?」
「はい。ポークンは臭みが強いですが合わせる食材や調理法で食べれるのですよ。…うちの領地ポークン沢山出るんでー」
「へぇ…これがあのポークン?」

ポークン、豚肉さんなんですよねー。
見た目も豚さん。
ちなみに上位種イノガタはどう見てもイノシシ。
それもうちの領地に出ます。

「このマヨネーズとは?」
「ええと白いソースです。お酢と卵と油を混ぜると出来ます。」
「へぇ…バターというのは?」
「ミルクを攪拌し続けると出来る油になりますね。」
「へぇ…」

色んな物が無い。
物が無いということはすぐに飢饉など訪れてしまう事にも繋がる。

「パンもふわふわだね?こんなの初めてだよ。」
「それは大変苦労しました…」

まず酵母を作る事から始めないといけませんからね。

「うん、美味しい。」
「それは良かったです。」

人付き合いとかは貴族側だとわりと苦手ですが、こいうのは嬉しいですね。

「…、クロノワール嬢。」
「はい?」
「また、明日ね。そろそろ午後の授業だ。」
「へ、あ、はい?」
「明日も楽しみにしてるよ。」

なんとぉ!?
何故そうなった?

「ああ。僕はジゼル。名前で呼んでいいよ。」
「ひぇっ!?」
「じゃあね。」

線が細い方だと思っていましたけど…

「…ジゼル様も筋肉が…おありですね…」

あれかな、剣を扱うからかな…
胸板の厚みが違うわ…
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