□異世界転生
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転生したら貴族だった!

んな訳ない。
転生しても一市民に変わりなし。
転生してきた私は産まれた時から父親はいなかった。
それが5歳の時お母さんが病気で死んだ。
薬師だったのに。
必要な材料が揃わなかったからだ。

そうして私はお母さんの産まれた故郷という村に行った。
おばあちゃんがまだ生きているからだ。
わりと大きめな村で、おばあちゃんも薬師だった。
それとおばあちゃんの元にはもう1人、同じ歳の女の子がいた。
おばあちゃん曰く従姉妹という事だが、なんか似てない気がする。
私の日課は薬の勉強である。
文字の読み書きは動けるようになって言葉を覚えたらお母さんが教えてくれた。
おばあちゃんはもう白髪だから分からないけど、私の髪は恐らくお父さんの方に似たのだと思う。
お母さんは茶髪だったから。
私は金髪だからだ。

しばらくしたらおばあちゃんが薬を教えてくれた。
従姉妹は文字の読み書きは出来ないようだった。

7歳の時、村に新たに住民が増えた。
ギルというおじさんだ。
行く宛てもなくだけど、どうもおばあちゃんに会いに来たみたい。
近くに家を建てて魔物狩りをしている。


それからしばらくして。
10歳になった。
おばあちゃんは元気である。
この村では10歳の子供がいる場合、家族が後継者を決める継承の儀というのがある。
おばあちゃんの元には私とネニアがいる。

「あたしの後継者は…」

というか、製薬の指導も配達もしないネニアがどうしておばあちゃんの後継者になれると皆思ってるんだろう?
外で産まれた私は、おばあちゃんの孫であっても余所者扱いだった。
大人はマシだ。
お母さんの事を知ってるから。
大人達からお母さんの事を聞くのは楽しかった。
お母さんを知らない子供が私を余所者として扱った。
多分大人達の反応も気に入らないのだろうな。

「あたしの後継者はレティシアだよ。」
「っ!?なんで!?なんでこの余所者を選ぶの!?」
「余所者、ねぇ…レティシアはれっきとしたあたしの娘アニラの子だよ。…ケニス。」
「っ…」
「もう我慢ならないねぇ。いつまで娘をあたしに押し付けておく気だい?」

え?

「そ、それは…」
「望まない子だったのは分かったさ。だからあたしは「預かった」。マネオ。」
「うむ…10年前、ケニスは働きに出た所で貴族の慰みものになった…ネニアは…捨てようとした…のをオーレリアが止めたのさ。」
「そんな…」
「それと。一週間後あたしはレティシアとここを出る。」

え?

「ギルはその為に護衛を買って出てくれた。」
「ま、待ってくれ…何故出ていくんだ!?」
「それは知る必要はないね。レティシア、話しがあるよ。着いといで。」
「う、うん…」

こうして村の継承の儀は終わった。
おばあちゃんに着いていく。
後ろはギルさんが着いてきてる。

「レティシア、村を出るのはあたしの為でもあるし、お前の為でもある。」
「?」
「全くどこでどう出会ったもんかね…あたしはね、若い頃大成を夢見て王都に出たのさ。」
「っ!!」
「アニラが住んでた家…お前が産まれたあの家はね、あたしの魔術がふんだんに使われたあたしの家さ。あそこであんたの母さんは産まれたのさ。」

なんと!?

「お前がアニラから渡されたそのペンダントがその証拠さ。王都に出るってあたしのクローゼットからくすねて持ってったんだね。」
「お母さん…」
「まぁ若い頃あたしは城に勤めててねぇ…ギル…ギルバートはそん時に城に入ってきた騎士だったんだよ。」
「ギルさんお城に勤めてるの?」
「もう辞めてきたがな。オーレリア様は城で唯一宮廷薬術士を賜った賢人のお一人なのだよ。」
「なんとぉ!?…賢人?」
「城を守護する要職の中でも魔術を修めておられる上級の方々に国王陛下から直々に贈られる称号でな。オーレリア様は薬師として成功した唯一のお方でな。作れぬ薬は無いと言われたものなのだ。…治療も厳しいお言葉を賜るがな…」
「無茶しおる若者には鞭も必要だろう?」
「ぐぬぅ…」

へー…

「…おじいちゃんはどんな人?」
「オーガストかい?そうさねぇ…あののんびりじいさんは…」
「オーガスト様は国で唯一魔術のみで賢人を賜ったお方でな。」
「へぇ…」
「お前はアニラ以上にあたし達の資質を受け継いだみたいでねぇ。」

そう言えばどこに行ってるの?

「そりゃ勿論地下室さね。オーガストの魔術であたしかオーガストが招き入れなきゃ入れないのさ。…ここはね、レティシア。大昔は貴族籍を剥奪された貴族の為の村だったのさ。長い歴史でここ100年は剥奪され追放される貴族がおらんかったから薄れとるが…」

つまり…

「一応この村の子孫は皆貴族の血筋?」
「そうだ。あたしもそうさ。300年前に追放された公爵の子孫になる。だから村人でも魔力やスキルを持って産まれるのさ。お前のその「麟水」もその一つだね。」

ああ、このよく分からないスキル。

「王水は聞いた事あるかい?」
「えっとなんでも溶かしちゃうお水だよね?猛毒になるってお母さん言ってた。」
「そう。麟水もその一つ。王水は水と変わらない見た目だが、麟水は液体の金属なのさ。」

ほう…?
ん?なんでその名前がスキルであるの?

「お前はその麟水を出して操れるんだよ。うちの血筋はそう言う液体スキルが必ず出るんだよ。アニラは聖水だったねぇ。あたしは王水さ。」

おう。
流石貴族の血筋…

「だが、麟水は今まで産まれた事はない。それこそ現代まで続く貴族の血を取り入れなきゃね。つまり、お前の父親は貴族だと簡単に分かったさ。…ただ、ギルバートがあたしの元に来なきゃそれで終わりだったんだけどねぇ…」

え?

「さて、着いたね。」
「ふわーっ本がいっぱい!」
「オーガストが作ったり集めた魔術書だよ。勿論あたしの薬の物もね。」

それを片っ端から小さい鞄に入れてくおばあちゃん。
マジックバックだ!
しかも容量おかしいやつ。
とにかく今は本を入れていく。
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