□異世界転生
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『良い?絶対に封印を解いちゃ駄目よ?』
『でもママ、学院に行ったら…』
『?』
『大丈夫。絶対に封印は解いちゃ駄目。』

幼い頃の記憶。
幼い時はママが居て、お姉ちゃん達もいた。
少し歳の離れた私は、その時ママの言っていた事は分からなかった。
そして自分自身の事も。

この世界、フェレンシアには変な…多分私は前世の記憶があるから変だと思うだけで…変な制度というか思想というか…ある意味間違いじゃないんだけど…

この世界には種族保存の為、神様から定められた絶対的な法が幾つか存在する。
神威法典というが、一番誰にも知られている神法は、15を成人とし、必ず成人を迎えれば性について学び、交わらなくてはならない。
交わりが無いものは、分かりやすいようにマークが付けられる。
産まれた時から付いているマーク。
それがある内は「子供」とか言われる。
私にもある。
必ず見える場所にあって、顔、手に良く出る。
私は左の頬にある。
一度でも交わればこれは消える。

現代では学院というものが存在していて、色んな所にあるのだが、私が通う学院が世界でも有数の在籍人数を誇る。
わりと安い学費なのに教育は一級、貴族平民問わず入れる為、挙って皆はここに行く。
私も通っている。
五人のお姉ちゃんは既に結婚して家を出ている。
遠い所にお嫁に行ったから滅多に会えない。
ママは…知らぬ間に消えた。
まぁママは元々冒険者もしてるから依頼で良くいないし。

私としてはその変な部分さえ無ければ、魔力のある世界なので楽しんで冒険者になりたい。
なりたいが…一番の成績不振である「性学」が思うように進まず、である。
前世では不感症だった故にいい思い出は無く、そもそもそういう事に後ろ向きである。
みんなの様に前向きに誰とでもなんて無理。
授業初日に怖くて泣いてしまって…
パートナーになった人には本当に申し訳ない。
まぁ少なからずセックスに対してネガティブな人は存在するから、先生は焦らず…と言ってくれたが、やはり同学年では浮いてしまう。
学院に入学して半年。
未だマークのある子はそう言った意味では除け者なのだ。

そんなある日。
マーク持ちだけを集めた補講が行われた。
必ずあるそうだ。

「普通は数をこなして相性の良い者を探すのですが、皆さんのように恐怖感を持ってしまう人も少なくありません。その為、現在では魔導具を使い学院内の人間で相性の良い者を見つける事が出来ます。その人個人に合わせた相性であるので…」

へー…
気にならない訳では無い。
したいものはしたい。
15、成人となると、人間も他種族も必ず来るのが発情期だ。
一年で最も性欲が高まる期間が幾つかある。
まぁ人間はそれは無いけど。
なんでって?
より種族を残す為に発情期はない。
つまり、毎日その気になりさえすればいつだって出来るのが人間だから。
この世界には色んな種族がいる。
人間は勿論、獣人族とか龍族とか、なんならエルフも精霊もいる。
ファンタジー世界なのだ!

「…おや?レティシアさんは封印をなされてますね?」
「…え?あ…それは…えっと…」

幼い頃の記憶が再び蘇った。

「ママ…母は絶対に解いてはいけない…と…」
「ああ、なるほど。大丈夫ですよ。」

へ?

「解いてはいけないのは15の成人までです。成人する年齢ならば自衛も出来るから、そうして封印を用いて人間として生きる種族もいますよ。」

え、そうなんだ。
っていうか私人間じゃないの!?

「随分幼い時に施されたようですね。封印は成人を迎えると一度解かねばなりません。お母様からお聞きには?」
「えと…数年帰って来てませんので…」
「あら。では一度解きましょう。」

ここまでは普通だった。
確かに他の子も封印しているなんて知らなかった人もいるみたいだから。

こうして先生に封印を解いてもらって。

「…」

ん?
あれ?
なんで静まってるの?

「…レ、レティシア…さん?」
「はい?」
「あなたはちょっと別室に!!!!」

そう言って先生に別室に放り込まれた。
何事。


しばらくして、何故か学院長がやってきた。
学院長はハイエルフっていう種族なんだよ。
真っ黒の髪色です。
ハイエルフに関しては色白、長い耳、男は長身になるという特徴と共に世界魔力高い種族第二位です。
第一位は龍族です。
そして魔力高い種族は…というか人間意外は長命種です。

「…はぁ…レティシアよ。リエラリアはどこだ?」
「えと…知りません…本当に「ちょっと行ってきまーす」って出ていったきり…です…学院長はママを知ってるんですか?」
「知ってるも何も…待て。知らない、のか?」
「?」
「あっの馬鹿娘が!!!」

おう!?

「はぁ…よもや知らぬままとは…改めて。お前の祖父がこの私だ。」

…なに!?

「封印を解いた自分の姿を知らんのか?」
「えと…封印自体知らないというか、むしろ朧気で…」
「あの馬鹿娘め…お前はハイエルフだ。あやつめ…よもや精霊と交わり子を成していると何故伝えん!!!!」

へ?

「今からお前が行うのは性学の前に種族講座だ。人間と思っていたなら亜種族のアレコレを知らんだろうからな。」

知りません。
え、何、それ重要なの?

「当たり前だ。あの馬鹿娘め…ある程度大きくなってから教えろといつも言っているのに…」

こうして私だけは別室で別講座を受ける羽目になりました。
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