□転生令嬢
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割り当てられた領地は、カインザック地方クロノワール伯爵領首都エネルザルク。
それが地図にも記されている名称です。
うん、首都と言いつつほぼ村ですが。
人数だけはわりと多く、誰もが「自活するための農業」しかしていない。
仕事というものがないのだ。

「改めて、当主候補のレティシアです。本日より当主代理としてこの地を治める事になりました。よろしくお願いします。」
「そんな、ご丁寧にありがとうございます!」
「そうか、当主様の後継者選定の時期か…」
「生きてる内に見れるとは…」

よし。
全員集まってくれたね!

「では、皆さんにはこれから…わたくしの鑑定を受けて頂きます!」
「「「「「はい?」」」」」
「わたくし実は鑑定スキルがあるのです。」

動き回れる様になった頃、お父様にくっ付いて商会の商品を片っ端から見て回っていたらいつの間にか出来るようになった鑑定。
だいたい2・3歳からだから三年もあればスキルレベルは5。
スキルレベルは大体1から5程度までは素人から中堅、5以上はかなり使い込まないと上がらない為5以上のスキルレベル持ちは重宝される。

「それで、皆さんの「資質」を見させて頂き、この地を盛り立てる為の「仕事」の考察をしたいと思います。考えている仕事は幾つかあるのですが、やはり資質低い人を宛てがうよりは断然良いでしょうから。」
「まぁ領主様のお達しならば…」

うむ。
本来は鑑定なんて出来ないから毎日見て回ってするしかないんだけどね。
当主になれなくても別にいい。
女だしね。
でも、やっぱり色々作ってみたいじゃん!
そして一人ずつしっかりと鑑定して行った。

それを紙に書き。

「まずは!皆さんには文字と簡単な計算を覚えてもらいますね。」
「え?」
「生きていくだけなら文字も計算も必要無いかと思う人もいるでしょうが…知っているのと知らないのではかなり差がでます。まずお触れなどを確認する為に必要です。こうしてここに街の名前の看板立てても読めるという人は少ないでしょう。」
「は、はい…」
「それは神父様、シスターにお願いしますね。」
「ええ、かしこまりました。」

それから鑑定結果に基づいて領民達を最適な職業に分けた。
それからまずは一人ずつ与えていた農地を一旦領主が没収、言い方は悪いけどね。
そして新たに農場を作った。
それからも次々と「生活に必要な仕事」を割り当て。
そもそもお金が流通しているのに回し方が雑。
細かい所までをやっていたらなんと一週間も掛かってしまった…

牧場も作った。
まずは領地内で流通を図る。
それが出来なければ外になんて以ての外だから。

「お花も商品になるの。」
「花もですか?」
「そう。最初に見た魔力操作が高い人達には、水分を適切に抜いて保存をしてもらうやり方でお花の商品を作ってもらうわ。それと機織り衆もね。」

紡績工場を作った。
わりと良い資質を持つ人が多くて、嬉しい限りです。

「メリルシープは色味も沢山ある。冬場はメリルシープの毛織物、それ以外は花織物でまずは布地を作りましょう。それで衣服が作れるし、パールの養殖も出来る手筈が整ったから…」
「「「「ふむふむ…」」」」

実は。
パールもこの領地の産出である。
むしろこの領地にしかない物の一つ。
パール、固有種の花、固有種の果実、そして酪農の固有種。
それらを飼育し、商品に変える。

それらを考えて、一ヶ月もすれば皆も徐々に慣れてきて領地内でも物が流通し始めた。

「まさかお酒まで作れるなんて…」
「あんな何もなかった街が…」

まだまだ。
しっかりと領内で物が流通していく。
流通仕切ればどうなるか?
勿論…

「余ってきておりますが…」
「うん。次よ。」

幸いここは領地と領地の間の領地。
どこかに行くにも必ずとは行かなくても誰かが通る場所。
ならば何を作る?

「…そうか!宿屋!」
「そう。それに適した人達がいるわ。今から読み上げる者は集まってちょうだい。」

こうして、宿屋と食堂を幾つか作る。
育てるのは勿論我が家の使用人です!

「安宿は安易に手が出しやすい。一家族で出来るわ。普通宿は少し従業員を入れましょう。高級宿は勿論貴族の使用人並みの仕事を。」

こうして一般から高級を振り分ける事で客層を限定させる。
領地が盛り立てば自ずとやって来るのが盗賊共。
だけどそれらを撃退するのは自警団。
それの育成もする。
なんせ今まであまり何もしていないから兵士なんて逗留してないしね。
そうすれば何が出来るか。
そう、領地が抱える冒険者だ。
ギルドを迎え入れずとも伯爵家がギルド支部のようにすれば良い。
そうすればここで育った冒険者は自ずと伯爵家に属する冒険者となる。
まぁギルドが無いから他の領地まで行って登録しなくちゃいけないんだけどね。
ギルド支部を迎え入れるのもお金が掛る。
しかし、お金を掛けずともギルド支部は作れる。
あちらから申し入れてくれれば良いだけの話。
幸い他の領地に向かうには幾つかダンジョン…自然を越えなくてはならない。

皆の向上心は良いもので。
半年経つ位には早い者でBランクまで駆け上がった者達もいる。
まぁわたくしがやってる鍛錬やってれば当然なれるわね。
さて、次。
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