□転生令嬢
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地球という星から魔力あるアスタルシアに転生してきた。
魔力があるのは夢でもあった。
まぁ予想外の事もあったけど、困った事もあるけれど、わたくしレティシアは今日も元気です!

とはいえ、困った事の方が今は勝る。
この世界では、幾つか「不治の病」というものがある。
それは「魔力過敏反応症」。
それが今世でわたくしを悩ませるのだ。

それは特定の人の魔力に反応する事。
本能的に体が反応するのでどうしようもない。
わたくしの場合、人によりけりだが悪寒の様なものがして強いと泣いてしまう。
傍目から見ていれば意味もなく「特定の人に恐怖している」様に見えてしまう。
大多数と会う平民ではなく、ある程度引き込もれる貴族であるから今まで特に何も無かった。

予想外の方の関連の方々には面白がられているのだが。

ただ、困った事に貴族は15歳から18歳までの三年間、学院という所に通わなくてはならない。
これは絶対規定なのだ。
明日から大丈夫かな…

『心配しても仕方なかろう?』
「そうだけど…」
『心配すべきは魔力過敏反応症ではない。好機と見てお前を殺しに来る者達ぞ。』
「はいー…」
「やはり動きはありました。」
『うむ…』

予想外の展開その一。
実はわたくし人間ではなく「魂 」が龍族らしいのです。
地球からポーーーンと飛んできたわたくし(魂状態)はこの世界では神に座する龍王達の所に飛んできたそうだ。
だが、次元と世界を越えるなんてしちゃったから消えかけていた。
永らく生まれなかった新しい龍の気配に、消えかけなのを焦ってわたくしをキャッチした光の龍王ニアラは偶然近くにいた妊婦に目を付けた。
たまたま腹の中の魂が出て消滅してしまったのをいい事に無理やりわたくしの魂を入れ込んだ。
そんな訳でわたくしは龍王の魂ながら人間として産まれたのです。
ちなみにお腹の中の赤ちゃんの魂が抜け出て消滅するのは良くある話しで、俗に言う死産、胎内死。
魂と身体が相性悪いとそうなるそうだ。
慌てて人間に入れ込んでしまった為、わたくしが人の一生分人間として生きなくてはならなくなった。
だが、肉体が死ねば龍として覚醒して龍となる。
情報などは一切公開はしていないものの、過激な龍王崇拝の輩などには目をつけられ、殺そうとされるのは予想に難くなかった。
ただ、まだ魂が安定していないから今殺されては困る…という事でニアラは赤ん坊の頃から側にいて、お父様とお母様にも説明した上で今はわたくしの従魔として人間界を謳歌しております。

わたくしは龍王の中でも更に特殊、精霊と龍が一緒になった精霊龍というものらしい。
その為、精霊も普通に見える。

各地に居る精霊王と龍王はわたくしの事を把握していて。
時折見に来てくれる。
精霊は姿隠せるけど龍王は隠せない。
だからか皆人型になる事を覚えた。

…わたくしには人間界を謳歌する為になってるとしか思えないけど…
少しづつ精霊と龍の力も融合してきているそう。
元々神に近い存在だからその力が混ざり合わずに魂が消滅しかけていたそうだ。
人間という「肉体」に繋ぎ止める事で上手く混ざっている。
そこは心配してない。
そういう理由から強くなる為に幼い頃から魔術と剣術を学び、10歳になった時に冒険者登録してお父様と色んな場所に修行に行ってきた。
普通ならそういう理由があるなら忌避するか大事に育てるのだが、お父様割とそういうの受け止めていい笑顔で了承してしまう。
いや、ダメな事はちゃんとダメって言うけど…
お父様は宮中伯というもので、先祖代々陛下や宰相の補佐という立場の家柄である。
お兄様も家を継ぐため、仕事を継ぐため宰相府にお勤めです。

「まぁ学院と王城は同じ王都にあるから何かあればすぐおいで。」
「お兄様…」

七つ年上のダミアンお兄様。
うちは割と黒髪とか茶髪が産まれる家系で、お兄様は真っ黒な髪色です。
真っ赤な瞳です。
腹黒いです。
でも大好きなお兄様です。
ちなみにわたくしは今世では銀髪に蒼い瞳です。
ジュエル・アイというものらしく、瞳は宝石の様にキラキラしていますが、それも目立つし狙われやすいので普段は封印に近い術式で消してます。
銀髪も狙われやすいので茶髪にしてます。
本当に明日から大丈夫かなぁ…

と、前世でも経験してきた通り、久しぶりの学校というものへの希望と不安を胸に、時間はあっという間に過ぎていくのだった。
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