大家族

□蒼井君と仲良くしよう!
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『霧澤さん、あなたが良ければ東京の知り合いの事を頼みたい。』

その一言が無ければ私は成功と呼べる栄光を手にする事は無かっただろう。
だが今は。

「…分からん…」

現在東京駅。
新居に向かうべく乗り換え無ければならない。(決して東京駅周辺の家ではない)
が。

「お、大阪駅より…天王寺より複雑な…」

何故駅は案内板があっても解りずらいのか。

「あら?あらあら?」
「ほえ?」
「霧澤さん!やっぱりお話受けてくださったのね!」
「あ、こんにちはー…」

私が東京駅に、いや、東京に来る事となった方の一人の奥様にお会いした。

「で、東京駅で立ち尽くしてどうしたのかしら?」
「あはは…迷ってます…」
「ああっそうよねぇっどちら?」
「えと、ここに…」
「なるほど。これならこちらですよ。」
「ありがとうございます!」
「新宿に行くの?」
「はい。実は辞めることになったとき北見さんにお話ししたんですよ。ちっと東京行ってくるって。」
「大丈夫なの?」
「あ、はい。北見さんに現地の事聞いておこうと思って。で、その時ちょうどまだ仕事とかも決まって無かったんで
すけど…」
「まぁ…お話し受けてくださったのは嬉しいけれども大丈夫?」
「はい。そこは。実は北見さん、歌舞伎の関係がありまして、その偶然そこに猿之助さんがいらっしゃってて。」
「まあっ!!」
「実は東京に来る事の世話をしてくだって。今日は猿之助さんが見つけて下さった部屋に。」
「そうだったのね。」
「いや…多分住所聞いても迷う羽目に…」
「うふふっそうだわっ」

お?

「はい。」
「?」
「私達の住所。困った事がありましたら気軽に来てくださいな。」
「っ!!ありがとうございます!」
「麻美、結構霧澤さん気になっていたようだから仲良くして下さると嬉しいわ。」

なんと!?

「ふふっさあここですよ。」
「ありがとうございましたっ」

幸運、とはこういう事だろうと思った。
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